萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

文学山景:氷瀑×西行

2015-01-11 22:00:00 | 文学閑話韻文系
氷、水奔る



文学山景:氷瀑×西行

岩間行く 木の葉分けこし 山水を 露洩らさぬは 氷成けり 西行
いわまゆく このはわけこし やまみずを つゆもらさぬは こほりなりけり

岩はざ間ゆく水、木の葉かきわ分け越えて来る山の水
山湧きだす水を一滴も洩らさないのは氷になるからだけど、同じになれるのかな?
言わせて僕らの間ゆく言葉を分かって来てくれるかな、この想い少しも洩らさずに恋織られたら。

西行法師の『山家集』に掲載の冬歌です。
岩=言う、木の葉=言葉、分け=分ける・分かる、露=雫+つゆ「少しも」の意味、氷=こほり=こひおり「恋織・恋居り」
なんてカンジに一単語を懸け言葉に解釈して、直訳+意訳をつけてみました。



写真は三頭大滝@奥多摩にて今日撮ったものです、
滝も川も凍りついた底を水は流れて、で、飛沫や水流の形のまま氷化しています。
コレどうやって出来るかというと、

冷やされた岩に水がつく→水が凍って氷になる→氷にまた水がついて氷になる

の繰り返しで氷結していくわけです、
なので流木や岩など水より冷たくなりやすい物体の周りから氷化していきます。



標高1,000m地点の正午でも零度、北斜面の岩陰は凍って登山道も氷結が多かったです。
地中の水分が凍って地表に現れてアイスバーン化したモノの上に枯葉が積もっているってカンジでした。
スタートがのんびり時刻だったのでピークハントしなかったんですけど、山頂へ行くなら軽アイゼン持ってる方が無難だと思います。

三頭山は標高1,531mで低山になりますが気温が低い+水場が多いので凍結しがち、
ゆるやかな道が多いけれど急斜や隘路の岩場もあり、で、けっこう遭難件数が多い山でもあります。
低山+アプローチが便利+大滝までは散歩道感覚なので、そのまま軽装備で入山した結果がってワケです。
たった50cmのアイスバーンを転んで5m滑落しても人は死にます、どんな山でも慎重すぎる足元が安全で楽しいです、笑



上は「氷の花」です、
これは亀葉引起こし・カメバヒキオコシの枯れ茎から出来る現象なんですけど、
枯茎の水分が凍って膨張→枯茎を破って飛びだしたモノが花みたいに咲くので「氷の花」と呼ばれています。

カメバヒキオコシは青紫色の花弁+赤紫色の萼した小花を房状に咲かせる晩夏の山野草です、
三頭山だと9月ごろ花が咲きますが、10月も赤紫色の星形の萼が花みたいにカワイイです。
下の写真がソレなんですけどちょっと紫蘇の花とカンジが似ています。



氷の花は風向きに温度や地形など、いろんな条件でいろんな形になります。
三頭山だけでも様々な氷の花が見られて面白かったです、笑



下は三頭大滝ほぼ全景になります。
例年1月中旬ごろ全面凍結だそうで、晴天続きだと水量が減るので凍りやすいです。
が、管理事務所の方たち曰く「水の流れがある方が氷の下の水流がきらきらして綺麗」とのことですが自分も同感です、笑



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