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10周年前の破廉恥スペシャル

2016-02-02 21:37:28 | 創作・美奈レイ
2003年某日に書いたという、おそらく、おそらくこれが最初の小説という


もはや意味がよくわからないネタのサムシング


責任は持ちません
当時私はほら、5歳だったから



月と火星のランデヴー
「今日、何の日か知ってる?」
「9月9日だから、苦しみの日」
美奈子のあっけらかんとした答えに、レイは机に突っ伏した。
「じょ、冗談は顔だけにしてよ・・・」
「どうしたの、レイちゃん」
6時50分。月が暗闇に光を照らし始める。
「・・・とにかくこっちに来て」
レイは美奈子の手を引っ張ると、境内に出た。
「月、見て見なさいよ」
「うん」
東の空を見上げる。憧れの場所。美しい神殿。想い出の中の記憶は、まだ美しいものだ。
「ねぇ、月の近くに何が見える?」
同じように夜空を見上げたレイは、ちょっと嬉しそうに微笑んでいる。
「何がって・・・あれ?赤いのが見えるわ」
「火星よ」
「火星?」
レイの横顔をまじまじと見つめる。レイの瞳の中に映る月の光が美しくて、美奈子はそっちに見とれていた。
「ちょっと、ちゃんと見なさいよ!」
「え?あ、うん・・・」
熱くなった頬は暗闇が隠してくれている。美奈子はホッとして、もう一度東の空を見上げた。
「火星、綺麗でしょ?」
「そうね。綺麗」
「今日はね、月と火星のランデヴーなの」
「ランデヴー?」
「そうよ。こんなに月の近くで火星が輝いていることなんて、普段はありえないのよ。地球に火星がこんなに近づくのも、6万年ぶりなの」
嬉しそうな声を隣で聞きながら、美奈子はレイの腰にそっと腕を回した。
「レイちゃん」
耳元で囁く。レイの瞳はまだ月と赤い星を見つめたままだ。
「何?」
「レイちゃん。火星が地球にこんなに近づくことが6万年ぶりで、月と火星がこんなに近くに見えるのもめったにないなんて、凄い奇跡なの?」
「そうよ。この瞬間に生きていることが、奇跡そのものなのかもしれないわ」
「じゃぁ、同じ時に生まれて、めぐり会えて、二人で寄り添って、その凄い奇跡を見上げていることは・・・100万年分くらいの奇跡ね」
囁かれた言葉に、レイは目線を美奈子へと移した。
「そうね。でも、それは奇跡じゃないわ」
「え?」
喜んでもらえると思った美奈子は、きょとんとしてレイを見つめる。
「あなたに会えたことは、運命なのよ。奇跡は起こるものだけど、私たちは違うわ。傍にいることが当たり前なの。そうなる運命だから」
「レイちゃん・・・」
鼓動が早くなり、身体の熱を上げてゆく。
「月と火星のランデヴーを美奈子ちゃんと見たくて、この日をずっと楽しみにしていたのよ。何が苦しみの日よ、まったく・・・」
月明かりに照らされたレイの横顔が、あまりに美しすぎて、夜空を見つめることさえでき
ない。
そっとレイを背後から抱きしめる。暖かな温もりと、優しい愛情。
「ねぇ、美奈子ちゃん」
「なぁに?」
「一瞬だけの奇跡を持つ輝きは、心の中だけに焼き付けておくわ」
「そうね」
頬を寄せて、もう一度夜空を見つめた。
「けれど永遠に続くのは・・・」
月明かりが振り向いたレイを影が覆う。美奈子は微笑むと、言葉を紡ごうとするその唇を
肩越しにそっと奪った。重なり合った影は、いつまでも離れられないでいる。金星と火星
のランデヴーは永遠に続くと美奈子は確信した。





どうやら、最初は「美奈子ちゃん」呼びを採用していたみたいですね。なんででしょう。アニメのせいかな。
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