
トドのような足は、細くてスマートなゲタが履けない~。
靴も困ればゲタも困るのですー。
これは通称「のめり」と呼ばれる形、前の歯がなくて斜めになっています。
これはゲタを履きなれない人にも、歩いたとき前がカコンカコンとならないので
歩きやすいゲタです。のめりを履くのは何十年ぶりでしょうか。

関西では「のめり」、関東では「千両」「神戸(発祥地)」と呼ばれます。
これで後ろも歯がなくて全部丸ごと台と同じになっているものは「小町」。
ゲタの名前って、粋なものが多いですね。
浅草の芳町の芸者さんが好んで履いたのが「芳町」、
台がまっすぐでなく、少し前に向かってさがっていて、
裏は土踏まずの辺りがくりぬかれているものが「右近」、
雨用は「時雨」、その歯が薄ーいのが「日和」、関西では「利休」といいます。
私はまだ子供のころにゲタで遊んでいた記憶があります。
近所の子でもゲタの子がいました。
日常的にはいていたのは、10歳くらいまででしょうか。
そのあとも、勝手口の土間にはいつも母のゲタがありましたから、
ちょっと外に出るときなどは、突っかけていました。
今で言うところの「つっかけ」、よく玄関や勝手口においてあって、
ゴミすてとか庭掃除なんていうとつっかけるサンダルですが、
あれが「ゲタ」だったわけです。近所でもおばさんたちは、
特に夏場だと、上は洋服でもゲタはいて買い物なんかしてましたねぇ。
そんなわけで、ゲタの履き方、なんて改めて考えなくても、
ゲタをつっかければ、自然とそのように足が動きます。
現代人にとっては、ゲタは履いたことのない履物、ですよね。
夏になると、お祭りのある日など我が家の前を浴衣姿の娘さんが通りますが、
なんとも歩き方が…。最近は靴に近いようなスタイルのゲタがあって、
私は「あーゲタもどきだー」と思ってみています。
ゲタは慣れてしまえば、痛くもないし歩きにくくもないんですけどねぇ。
なんやらハイヒールのできそこないみたいな、
サンダルだかゲタだかわからないようなものを履いているのを見ると、
あれの方が疲れるんじゃないかと思ってます。
実は写真の「おニューゲタ」、ちょっと大きいのです。
これは台と鼻緒を別々に選べるお店(ネット)で買いましたが、
サイズのもう少し小さいのがありませんでした。
ゲタは靴と比べてサイズもアバウトな履物ではありますが、
大きさ(長さ)は合っているほうがいいわけです。
ただし、靴ほど細かくありませんから例えば私は靴なら22.5センチ、
このゲタは23.5センチですが、一応「範囲内」です。
ただ私の足、靴は22.5ですがちゃんと測ると22センチあるかないかなので、
素足でゲタだとちと大きい…というわけです。
ゲタは足の親指と第二指ではさんで履きますが、しっかり奥まで履きこみません。
前坪をちょいと足の指で挟むようにして、手前で止めます。
この「前坪より少し手前でとめる状態」で、
台のうしろから1~2センチくらいかかとが飛び出るのがベスト。
このゲタは大きいので、前坪から少し多めに控えないとかかとが出ません。
こんな感じ…

右のキタナーイのも私の足ですが、実際ゲタを突っかけると、
こんな状態でも歩いてます。あんまり前にぎゅーっと入れてしまうと、
指の股部分が痛くなります。ほんとに「つっかける」感じですね。
ゲタの歯は「差し」であれば替えられます。
また「貼り」もあります。最近のゲタは歯の裏にゴムの貼ってあるものが
けっこうあります。アスファルトの道では音を消してくれるので便利ですが、
このゴムは磨り減っても貼りなおしができないと聞いたことがあります。
もうひとつ、日本人のすばらしい技術ですが「歯継ぎ」という補修があります。
これは減った歯を削って、新しく減った分だけの歯を継ぐのですが、
実はこのワザを持つ人が少ないのだそうです。
私は、小さいころに母が「日和ゲタ」の歯を差し替えてもらったのを、
かすかに覚えているのですが、歯継ぎはみたことがありません。
ゲタの歯は、アスファルトやコンクリート社会の今、
日常的に履くと昔より「歯の減り」が早いような気がします。
歯が替えられればいいですが、こののめりのように一枚の板から、
台と歯を切り出しているもの、「真物(まぶつ)」といいますが、
これだと替えようがありません。
でも、けっこうもつものではありますが…。
歯のほとんどなくなったゲタ、なんていうツワモノも懐かしいですね。
母なんかは、元々が安いケダしか買いませんでしたが、
とにかく履いて履いて履きつぶす…歯が磨り減って
草履みたいになっちゃうんじゃないか、と思うんですが、
実際には、その前に台も擦れて汚れ、角や横が割れたり欠けたり…。
子供のころはまだ家の周りはアスファルトではなかったので、
たまに石なんかがはまってしまったり、ぬかるみや雪のあとなどは、
歯の間に入り込んだ土が、歩くとまた土をくっつける…。
ときどき道端の大きな石とか側溝のふたの角などに、ゲタを履いたまま
カンカンとうちつけて、はまり込んだ石や土をとったものです。
古いゲタだとそのとき割れたり欠けたり…しましたねぇ。
今でも覚えている母のゲタの鼻緒は、別珍でオレンジと下に細く黒の入ったもの。
別珍の「起毛」がすっかりハゲてしまっても取り替えずに履いてました。
鼻緒の挿げ替えは、私でもできますが、当時は自分でやって当たり前、
母のそのゲタはいつのころからか、前坪が右と左で色が違っていました。
挿げ替えるときにありあわせの布を使ったのでしょうね。
ちなみに手ぬぐいの両端をくけずに切りっぱなしで使うのは、
鼻緒が切れたとき、手ぬぐいを使って挿げ替えたりするのに裂きやすいから、
って言うのも理由の一つだったんですね。
靴は、かかとがとれちゃっても、なんとか歩けますが、
ゲタは鼻緒が切れたらお手上げですからねぇ。
さて、このゲタ、いつおろそうかなぁ、ここまできたらお正月までガマンかな。
バサマだったら「大安吉日午前中、もしくは葬式」っていうだろうなぁ。
ついでのことに「なんつーババくさい鼻緒やねん」とも…。
追記…夏様からコメントをいただきまして、裏にゴムが貼ってあるものでも
はり替えをしてくださるところもあるそうです。
まずは探してみることですねぇ、はりかえができたら、
ゴムならなおさら長持ちしますから。
ちなみにこのゲタ、近所周りしかはかないのに、減りが早いですー。
おそるべし、あすふぁると!
靴も困ればゲタも困るのですー。
これは通称「のめり」と呼ばれる形、前の歯がなくて斜めになっています。
これはゲタを履きなれない人にも、歩いたとき前がカコンカコンとならないので
歩きやすいゲタです。のめりを履くのは何十年ぶりでしょうか。

関西では「のめり」、関東では「千両」「神戸(発祥地)」と呼ばれます。
これで後ろも歯がなくて全部丸ごと台と同じになっているものは「小町」。
ゲタの名前って、粋なものが多いですね。
浅草の芳町の芸者さんが好んで履いたのが「芳町」、
台がまっすぐでなく、少し前に向かってさがっていて、
裏は土踏まずの辺りがくりぬかれているものが「右近」、
雨用は「時雨」、その歯が薄ーいのが「日和」、関西では「利休」といいます。
私はまだ子供のころにゲタで遊んでいた記憶があります。
近所の子でもゲタの子がいました。
日常的にはいていたのは、10歳くらいまででしょうか。
そのあとも、勝手口の土間にはいつも母のゲタがありましたから、
ちょっと外に出るときなどは、突っかけていました。
今で言うところの「つっかけ」、よく玄関や勝手口においてあって、
ゴミすてとか庭掃除なんていうとつっかけるサンダルですが、
あれが「ゲタ」だったわけです。近所でもおばさんたちは、
特に夏場だと、上は洋服でもゲタはいて買い物なんかしてましたねぇ。
そんなわけで、ゲタの履き方、なんて改めて考えなくても、
ゲタをつっかければ、自然とそのように足が動きます。
現代人にとっては、ゲタは履いたことのない履物、ですよね。
夏になると、お祭りのある日など我が家の前を浴衣姿の娘さんが通りますが、
なんとも歩き方が…。最近は靴に近いようなスタイルのゲタがあって、
私は「あーゲタもどきだー」と思ってみています。
ゲタは慣れてしまえば、痛くもないし歩きにくくもないんですけどねぇ。
なんやらハイヒールのできそこないみたいな、
サンダルだかゲタだかわからないようなものを履いているのを見ると、
あれの方が疲れるんじゃないかと思ってます。
実は写真の「おニューゲタ」、ちょっと大きいのです。
これは台と鼻緒を別々に選べるお店(ネット)で買いましたが、
サイズのもう少し小さいのがありませんでした。
ゲタは靴と比べてサイズもアバウトな履物ではありますが、
大きさ(長さ)は合っているほうがいいわけです。
ただし、靴ほど細かくありませんから例えば私は靴なら22.5センチ、
このゲタは23.5センチですが、一応「範囲内」です。
ただ私の足、靴は22.5ですがちゃんと測ると22センチあるかないかなので、
素足でゲタだとちと大きい…というわけです。
ゲタは足の親指と第二指ではさんで履きますが、しっかり奥まで履きこみません。
前坪をちょいと足の指で挟むようにして、手前で止めます。
この「前坪より少し手前でとめる状態」で、
台のうしろから1~2センチくらいかかとが飛び出るのがベスト。
このゲタは大きいので、前坪から少し多めに控えないとかかとが出ません。
こんな感じ…

右のキタナーイのも私の足ですが、実際ゲタを突っかけると、
こんな状態でも歩いてます。あんまり前にぎゅーっと入れてしまうと、
指の股部分が痛くなります。ほんとに「つっかける」感じですね。
ゲタの歯は「差し」であれば替えられます。
また「貼り」もあります。最近のゲタは歯の裏にゴムの貼ってあるものが
けっこうあります。アスファルトの道では音を消してくれるので便利ですが、
このゴムは磨り減っても貼りなおしができないと聞いたことがあります。
もうひとつ、日本人のすばらしい技術ですが「歯継ぎ」という補修があります。
これは減った歯を削って、新しく減った分だけの歯を継ぐのですが、
実はこのワザを持つ人が少ないのだそうです。
私は、小さいころに母が「日和ゲタ」の歯を差し替えてもらったのを、
かすかに覚えているのですが、歯継ぎはみたことがありません。
ゲタの歯は、アスファルトやコンクリート社会の今、
日常的に履くと昔より「歯の減り」が早いような気がします。
歯が替えられればいいですが、こののめりのように一枚の板から、
台と歯を切り出しているもの、「真物(まぶつ)」といいますが、
これだと替えようがありません。
でも、けっこうもつものではありますが…。
歯のほとんどなくなったゲタ、なんていうツワモノも懐かしいですね。
母なんかは、元々が安いケダしか買いませんでしたが、
とにかく履いて履いて履きつぶす…歯が磨り減って
草履みたいになっちゃうんじゃないか、と思うんですが、
実際には、その前に台も擦れて汚れ、角や横が割れたり欠けたり…。
子供のころはまだ家の周りはアスファルトではなかったので、
たまに石なんかがはまってしまったり、ぬかるみや雪のあとなどは、
歯の間に入り込んだ土が、歩くとまた土をくっつける…。
ときどき道端の大きな石とか側溝のふたの角などに、ゲタを履いたまま
カンカンとうちつけて、はまり込んだ石や土をとったものです。
古いゲタだとそのとき割れたり欠けたり…しましたねぇ。
今でも覚えている母のゲタの鼻緒は、別珍でオレンジと下に細く黒の入ったもの。
別珍の「起毛」がすっかりハゲてしまっても取り替えずに履いてました。
鼻緒の挿げ替えは、私でもできますが、当時は自分でやって当たり前、
母のそのゲタはいつのころからか、前坪が右と左で色が違っていました。
挿げ替えるときにありあわせの布を使ったのでしょうね。
ちなみに手ぬぐいの両端をくけずに切りっぱなしで使うのは、
鼻緒が切れたとき、手ぬぐいを使って挿げ替えたりするのに裂きやすいから、
って言うのも理由の一つだったんですね。
靴は、かかとがとれちゃっても、なんとか歩けますが、
ゲタは鼻緒が切れたらお手上げですからねぇ。
さて、このゲタ、いつおろそうかなぁ、ここまできたらお正月までガマンかな。
バサマだったら「大安吉日午前中、もしくは葬式」っていうだろうなぁ。
ついでのことに「なんつーババくさい鼻緒やねん」とも…。
追記…夏様からコメントをいただきまして、裏にゴムが貼ってあるものでも
はり替えをしてくださるところもあるそうです。
まずは探してみることですねぇ、はりかえができたら、
ゴムならなおさら長持ちしますから。
ちなみにこのゲタ、近所周りしかはかないのに、減りが早いですー。
おそるべし、あすふぁると!
下駄もそんなに色々名前があるんですね。
私が嫁入りに持ってきて知っているのは
日和下駄と利休下駄ですわ。
とんぼ様のように前坪を指ではさむ履き方を
すれば鼻緒が伸びなくていいんですが、私は
ぎゅうっと履いてしまう癖があるので鼻緒の
形が悪くなってしまいます。なかなか癖は
直らないです・・・
初めて知りました。
ここ数年着物を着始めてからはもう下駄一辺倒になっています。
特に芳町が好きで・・・・
特に不自由は感じていなかったのですが、長く歩く時にはやはり右近の方がずっと楽だということに最近気が付きました。
でも、伊達の薄着~の伝で伊達の芳町で行きたい!です。
歩き慣れないと鼻緒を緩くしないと難しいと感じるようですけど、指の股までツボが入るようだと逆に綺麗に歩けず、着崩れの原因になったりもするそうですね。
子供のころは、走ったとき脱げないように、
わざと前坪しっかり履くために、
爪先カンカン打ち付けて、母に怒られました。
ゲタも買うのは久しぶりです。
嫁入りのときのは、さすがに二足くらい
履きつぶしました。日和はさすがにまだ…。
でも爪皮が派手なんですよ。
りら様
はい、履物でも和小物でも、
お葬式の時におろすのは、いいって言います。
根拠はわからんのですが、たぶん逆に、
たとえば何か新しいものしかないときに、
お葬式におろすなんて…ってなったら
あとあと使えなくなるからじゃないかなと、
そんなふうに思ってるんですけどね。
ただ、なんか「仏様を送るのに、
新しい履物で見送るのは、礼儀にかなう」とか
なんかそんなことをきいた気がします。
芳町は粋な歩き方になりますね。
ちょっと前のめりっぽい…。
右近はラクですわ。しばらく右近しか
はかなかった時期があります。それも黒塗り。
長距離は草履に近いこっちでしょうね。
しっかり履いて、かかとが後ろに出ないと、
柔らかモノは長めに着ますから、
ゲタとかかとの間に裾がはさまったりする、
と言われていますしね。
私、やりそうです。ずり~~ずるずる…。
下駄を履いていないので
はきたくなってしまいました。
渋いけど、いい鼻緒の色ですね。いろいろに
あわせやすそうです。
ずっとはなおは赤いものが多かったのですが、
さすがにちょっと…渋め過ぎですが、
一度「緑系」をつけてみたかったんです。
つむぎ地なので、私っぽいかなと。
とても勉強になる記事を、いつも楽しく拝見しています。
自分も下駄が好きなのですが、まだまだ履き慣れなくてつっかけて履く事が出来ません。
とんぼ様の様に、粋に履きこなせる様になりたいのですが・・・
下駄のゴムですが、少し前に張り替えて頂いた事があります。
ゴムが減ってきたら張り替える・・・を繰り返すと、歯自体の減りが少なく長く履けるようになると職人さんが教えて下さいました。
またコンクリートなど堅い建造物を歩く時には、ゴムが付いている方が足への負担も軽くなるし、つるっと滑る事もなくなるから、粋じゃないけどなるべく付けた方が良いですよ、ともおっしゃってました。
えらそうに長々書いて申し訳ありません。
トンボ様が書かれていると、皆さんがゴムは張り替えられない物だと思ってしまう様な気がして、差し出がましいと思いつつ書かせて頂きました。
張り替えられないとおっしゃる職人さんもいらっしゃるのかもしれませんが、張り替えられるとおっしゃる職人さんもいらっしゃるのだと言う事、心に留めて頂けると嬉しいです。
こちらこそはじめまして、
ようこそおいでくださいました。
まぁ貴重な情報を、ありがとうございます。
貼りなおしていただけたら、
長くはけますよねぇ。
この写真のゲタ、すでに減り始めてまして、
アスファルトの強固さを実感しています。
追記で書かせていただきますね。
ありがとうございました。
またよろしくお願い致します。