ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

へちまさん、いらっしゃい!

2010-09-15 12:23:11 | 昔の道具・暮らし
先日「へちまを使った帯の後ろの汗取り」といいますか、アレ。
お話しのあとで、コメントくださる方が「送りますよー」と、
ふたつ「現物」を送ってくださいました。ありがとうございまーす。
昨日無事着きました。

残念なことにナマの方は、この暑さで傷の所から腐ってしまって…。
いえ、元々腐らせればいいものなのですが、箱の中でぶつかったりしたらしく
グズグズとくずれてしまっていました。
届けたお兄さんが「ヘンな臭いがどこかで付いたらしいんです」…。
「いえ、ついたんじゃなくてこれが臭うのよ」といっても、心配ガオ。
玄関前であけてたら「見ていきます…」「ほーらね」「あぁそういうものなんだー」
で、安心して帰っていきました。まじめな方です。

茶色いほうは、すでに中でカラリンカラリンと種の動く音がします。
こちらはこのまま置いといても、後は皮をとるだけ。

緑色の方、つぶれたのか崩れたのかで、形になっていないところを取り除き
輪切りにしてみましたら、半分「イッテ」ました。
ちと御見苦しいですが…。


          


早い目に処理しませんとね。今回は伝え聞く「熱処理」で行きましょう。
そうすると、ひとつは「自然乾燥」もうひとつは半分は「ナマから煮たもの」
半分は「途中まで腐らせて煮たもの」の三種類が実験できるわけです。
よし、やってみよう!

ナベに入る大きさにカットしました。
お風呂や台所で使うのにいい大きさ、帯枕にいい大きさ、あれこれのサイズと、
忘れちゃいけません「ナベのサイズ」
今回は帯枕などは「茶色」いカラカラのでいってみようと思います。
こちらは長く切れなかったので、台所のスポンジ代わりとお風呂用。

煮沸すりゃなんでもきれいよ…とはいうものの、ちと気がひけて、
底が傷ついたので、染物に使おうととっておいた古い銅ナベをひっぱりだしました。
水をたっぷり入れて…これをひたすらコトコト煮ます。
浮いちゃうので落し蓋と重石を使います。

大きさと量にもよりますが、今回は3個を30分ほどグツグツと…。
次にしょうゆとみりん…チガイますっ!今回は食用でないってば。
煮えましたら冷水にとって、皮をはがします。ポロリときれいに取れます。
元の茶色になっていたところ、よく見るとわかりますが、ほとんどかわりなし。


    


ヘチマらしくなってきましたね。
ここからはひたすらもみながら水で流して、中身のぬるぬると種を取り出します。
感覚ですが、腐らせたほうがぬめりが多く、
まだ白かったところはそのままさっぱりした感じ。
これで出来上がり。あとは天日で乾燥!

茶色くなってから取ったものは、ヘチマの仕上がりがちょっと茶色っぽいですが、
水漬けと煮処理は色がきれいです。

そうそう「におい」ですが、昔母がもらっていたものはからからに乾燥したもので、
水漬けは実際にはやったことがありませんでした。
瓜系の処理はとにかく臭い…といいます。特に水漬けはすごいと…。
父の言葉を借りると「長いことほったらかした花瓶の水のにおい」…ああなるほど。
で、覚悟して、昨日は少し涼しかったし、窓開け放ち換気扇強力にまわしましたが…。
そんなでもありませんでした。確かに半分は腐りかけですから、しないわけではなく、
決していいにおいではありませんが、ウッとハナをつまむほどでもなし。
煮てしまうと細菌なども死滅するせいでしょうか、最後はわずかににおう程度でした。
ただ、ほのかに残っても気にはなるので、ゴミの始末は入念にし、
部屋でお香をたっぷり焚きました。中身や種を流水で流すと、ほとんどなくなります。

さて、本来は天日干しですが…覚えていらっしゃいますか?「ゴミ乾燥機」。
ゴミは「グリーン」のケースで乾かしています。劇的に生ゴミへってます。
で、赤いケースの方を干ししいたけとかに使ってまして、
今回はこれに放り込んで、一晩ほっぽっておきましたら、完成、です。


     


今のお若い方は、昔これがスポンジ代わり…なんていってもご存知ないでしょうね。
ではこれを切って伸ばしてみましょう。
まずどこか一箇所にハサミを入れてザクザクと。
その後は「芯」の部分を皮から離す感じで、はさみで切り取っていきます。
これで分かれました。


     


芯は芯で、指先洗い用とか、細かいところを洗うスポンジ代わりに使えます。
外側の方、これをカーブとは反対に、つまり内側を外にしてクルクルとまきます。


     


ぐりぐりと床に押し付けるようにして転がして…。
丈夫ですから、少々手荒に扱っても大丈夫。もみもみして柔らかく。
そうすると、こんな風に平らになります。


  


これは幅が狭いので、腰当てにはなりませんが、やり方は同じです。
内側の方、芯につながっていた部分がちょっとチクチクしますので、
あまりでっぱっているようなところは、ちょっと刈り込んで…。
体に当てるほうは外側にするといいと思います。
もっとも素肌に当てるわけではありませんが…。

      
それにしてもいつも思うのですが、最初にこれに気が付いた人ってスゴイ…。
子供のころ、銭湯にいくと、母にやたらと硬いヘチマで体を洗われました。
ヒリヒリするしまっかになるし、ほんとにイヤでした。
それが後年「上質のヘチマ」を使ってみたら「あら柔らかくて頼りないわ」、
あ、うちってビンボーで安いヘチマしか買えなかったのかーと、
ずいぶんたってから納得したのでありました。
もっとも母なんかは「ヘチマはなぁ、固いのでヒリヒリするのがええねん!
ふにゃふにゃヘチマなんぞ、洗ぉた気ぃせぇへん!屁ぇみたいやで!」
母よアナタは「オットコマエ」な京女でしたねぇ。

というわけで、母ほどオットコマエでない私は、柔らかいヘチマで、
お顔もゴシゴシすることにします。

本日のおまけ話、へちまの名前。
ヘチマは「糸瓜」と書きます。元々は「いとうり、いとうり」と呼んでいたわけですが、
それが最初の「い」が弱く消えて「とうり」になりました。
いろは四十八文字の「と」は「へ」と「ち」の間にあります。
だから「へとちの間」で「へ・ち・間」。

「瓜」のつくものは胡瓜、南瓜、西瓜、冬瓜、隼人瓜、真桑瓜、金糸瓜(そうめんウリ)、
まぁいろいろありますねぇ。原種は中近東アタリが始まりで、
西方に流れて育ったのが「メロン系」、東方に流れて育ったのが「ウリ系」です。
実は私、メロン系ダメです。こんなおいしいもの…といわれるのですが、
あの独特の後味が苦手…胡瓜に味噌つけて食べるほうがいい…。
えぇえぇ高級品には縁のない人間ですわん。




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科学の先生の様ですね笑 (くう)
2010-09-15 15:32:07
恥ずかしながら、へちまの加工方法を始めて見ました。知りました。そこで質問ですが、へちま食用ではないのですか?干すしかなのですか?毛羽立ってるイメージがあるんです。苦瓜(ゴーヤ)とダブってしまうのは私だけでしょうか?へちまにはブツブツは無いけど。
そうそう、へちまで体を洗ってもらった記憶があります。痛い記憶もあります。今は紐付のが売られていますよね。とんぼさんも紐を付けるんですか?
改めて、欲しいなぁって思いました。仕事の帰りにでも買いましょ!
返信する
Unknown (Unknown)
2010-09-15 17:53:52
あ~
ほんとにイってましたね。
でも懇切丁寧に説明されたブログ記事って
良いですね~

私も今日朝一で水責めにしたへちま、
皮をむいて手がぷーーんとしたまま過ごしました(笑

石鹸で洗っても、落ちない臭い。

しかーし!好みの大きさの中身を堪能するのに
文句言っておられませんです。

買うとなるとサイズがね。
腰当て作りたい一心です
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Unknown (とんぼ)
2010-09-15 18:43:34
くう様

食べられますよ。私は食べたことないけど…。
「へちまレシピ」で検索すれば、
いろいろ出てくると思います。
母の昔話しでは、水分が多いので、
味付けを濃くしないと水っぽくなる、そうです。
そりゃへちま水とるくらいですからねぇ。
天然の化粧水、いいと聞いています。
いろいろ役に立つ「ウリ」なんですね。

紐をつけると、使った後水切りに便利ですね。
大きいのはつけようかな…です。
市販のヘッタンコのものは、水を吸うと
膨らみますよ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-09-15 18:45:49
Unknown様

おかげさまで、いいのができました。
ありがとうございました。

やりましたか、ついに!
独特のにおいですよね。
買うより大きなものが手に入りますから、
辛抱!ですねぇ。がんばってください。
私はラクさせていただいて、
申し訳ないです。
返信する
Unknown (陽花)
2010-09-15 19:41:36
へちまは加工するのに臭うとか
煮るとかまったく知りませんでした。

きれいに乾燥で、いいスポンジに
なりましたね。

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レシピ (くう)
2010-09-16 16:30:24
沖縄料理で、味噌煮込みが有名との事でした。
食べれるんですね。本当に知らなかったわ汗。実際の写真が掲載されてましたが、美味しそうでした。
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Unknown (とんぼ)
2010-09-16 19:37:02
陽花様

煮るのは、聞いてはいたのですが、
長いものをほしいと思ったら、
丸々煮なきゃならないので、
そんなナベはないし…と思っていました。
今回はカットしたのでうまくいきました。

みずを取替え取替えするのは、
ほんとに臭いそうです。
確かに腐った部分は臭いましたよー。

大きいのをお風呂で使うことにしましたが、
もう少し幅を考えて切ればよかった…と、
できあがってから思っています。
何事も経験ですねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2010-09-16 19:38:41
くう様

味噌煮ですか、なるほど。
アケビもそうですが、ちょっとした苦味と
水分で、これといった味がないらしく、
味噌煮など、味の濃いもののほうが、
おいしいのでしょうね。
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