すいーと雑記帳

とっこの独り言

具志堅隆松さんのハンスト5日目に入る

2021-03-05 17:02:58 | 日録・雑感など

3月5日 FRI  21℃

今日お昼前に、自転車で県庁前の県民ひろばへ行きました。

沖縄戦で亡くなった方々の遺骨を何十年にもわたって収集し続けてこられた遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(「ガマを掘る人」の意)の具志堅隆松さんが、ハンストに入られて、今日で5日目になります。

沖縄戦の最後の激戦地で今も多くの戦没者(日本軍の兵士も沖縄の人々も)の遺骨が地中に埋もれたままになっている沖縄本島南部から土砂を採取して、辺野古新基地建設に使う計画の断念を求めてのハンストです。

県民ひろばでハンスト中の具志堅隆松さん(3月1日チョイさん撮影)

今日、具志堅さんにお会いしましたが、ハンスト5日目とはとても思えないぐらいお元気そうでした。家が近所なのでよくお会いするので知っているのですが、もともと健康的な細身の方です。今日は、少し顔の艶が失われているかな、と感じただけで普段通りの具志堅さんでした。

「今朝から一段と元気になった気がする。さっきお医者さんの診断を受けたが大丈夫だった」と闊達にお話をされて、次々に訪れる報道関係者や支援者に対応しておられました。すごい人です。私やチョイさんは一食抜いたらプシューッと元気がなくなる方なので信じがたい体力と精神力です。精神力、気概ですね、やっぱり。

数十年にわたって、お仕事の休みの日に沖縄各地のガマ(自然壕)に行って、無償で黙々と地中に埋もれた遺骨を掘り出してこられた具志堅さんには、本当に頭が下がります。(ご家族も偉いな~、と思います。「休みの日くらい家にいて家事を手伝ってよ!」と私だったら文句タラタラ言うに違いない)

そんな具志堅さんが「遺骨が眠る本島南部の土を軍事基地建設に使うことは、戦没者への冒涜だ、辺野古新基地に賛成か反対か以前の人道上の問題だ」と訴えてハンストに入られたのです。多くの人の心を動かさないわけがありません。

初日からハンストのテント周辺には多くの支援者が集まって、具志堅さんに激励や感謝の言葉をかけておられるそうです。とくに幼い時に沖縄戦に遭って身内を亡くしたが今も遺骨も見つからないという高齢の方々が、具志堅さんのハンストの話を聞いて遠くから駆けつけて、「身内の埋まっているかもしれない南部の土を掘り返して海に沈めてほしくない。それは許せない」との思いを語られたそうです。

ほんとに沖縄の人たちの話を聞くと、ご自分は戦後生まれであっても、身内親戚に沖縄戦の犠牲者がいない人はほとんどないのではないかと思わせられます。うちの住まいの階下の老婦人も「沖縄戦で両親を亡くして自分は祖母に育てられた」とおっしゃっていました。(もちろん、私の祖母の甥もガダルカナルで戦死していますし、本土の空襲で犠牲になった方々も多くおられます。ただ、唯一の地上戦があって、熾烈な戦闘に住民が巻き込まれた沖縄では身近な犠牲者の多さを特に感じます)

具志堅さんが、ハンストをして訴えておられることは以下の2点です。

1.沖縄防衛局は遺骨が混じった南部地区の土砂を辺野古埋立に使用しないこと。

2.知事は、今回提出されている魂魄の塔横の鉱山開発届について、自然公園法第33条2項に基づいて中止を命じること。

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以前、2010年9月26日に、具志堅さんが那覇市真嘉比(まかび)のハーフムーンと呼ばれた激戦地の一つで、遺骨収集をなさったことがあって、私も参加させてもらいました。その時の記録と写真です。

ハーフムーンで遺骨収集

那覇市真嘉比のハーフムーンで遺骨収集をする具志堅さん(チョイさん撮影)

 

直近の18日に発掘された遺骨の収骨をする具志堅さん(この方は若い日本兵で、たこつぼの中で戦死されたのではないか、とのことです)

この収骨作業をしながら具志堅さんのおっしゃった言葉が忘れられません。「戦争で国が連れてきたんだから、国の責任で遺骨を家族に返す義務があると思う」と。まったく同感です。

また、こうして収骨された遺骨は、糸満の国立戦没者墓苑に納められるそうですが、具志堅さんは「長いこと地中に眠っておられた遺骨をやっと掘りだして明るいところに出してあげたのに、またすぐに墓苑の暗い所に入れることになる、それが残念だ。出来たらなんとか家族の元へ返してあげたいのに・・・」と。ほんとですね。一体一体の遺骨には待ってい家族がいるはずです。

国の戦争で亡くなって、長いこと家族の元にも帰れず、土の中に埋もれて今は血も肉も骨も土と一体になっているかもしれないのに、それをまた掘り返して日本政府・防衛省が軍事基地の埋め土にするとは、二重三重に死者の尊厳をないがしろにするものです。第一、平和祈念公園のある南部一帯は山を削ってはげ山だらけにしていいようなところではないはずです。沖縄戦の犠牲者の鎮魂と祈りの緑豊かな静かな場所であり続けなければならないと思います。

明日6日は、ハンストの最終日になる予定です。

具志堅さん、もう一息がんばってください。ハンストはようしませんが、せめて気持ちで応援しています。


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