如何でしたでしょうか?
一見貧弱なおじさんが、甲冑を身に付けて行くにつれて、何とな~く強そうに見えてきませんでしたか?
「甲冑は究極のコスプレである!」 と、誰かが言ったそうですが、私もそう思うんです。
戦場においては、敵の矢玉から我が身を守ってくれる甲冑。
その甲冑を装着する事によって死への恐怖を克服し、本来の自分、あるいは自分の知らない別の自分を戦場に体現する事が出来るのかもしれない。
それが軍隊という特殊な集団を形成している場合は尚更です。
つまり、甲冑の魅力とは、その造形にあると共に、精神論的哲学の占める割合がとても大きいんじゃないか、と思うんです。
抑圧された自我の解放というのは、武器・兵器(刀剣や銃火器、戦車や戦闘機に至るまで)に求めるより、甲冑を眺めている方が、精神的にも、より健全に体験できるんじゃないか、という気がしますし、現代の日本人の多くは、もう既にそれを実践しているようにも思うんです。
何となれば、人々が、モビルスーツに向ける関心と同等のそれを以て、例えばビームライフルやビームサーベル、ファンネルに思いを寄せる事が少ないように思えるからです。
「武器」が、他者との関係性においてのみ、その精神論的解脱を体現できるのに対し、「甲冑」はあくまでも自己完結的側面が極めて強い道具である事との違いが、日本人的メンタリティーを、大いに刺激するのだと思うんです。