FF7が大好評だったため、同路線での開発がなされたFF8は、シリーズ直系史上、最も奇天烈な作品となりました。
作り手の思い入れが、全く統一性を欠いたままゲーム内に投影されてしまったため、ストーリーから世界観、ゲームシステムと、多くの要素に非常に強いアクが出てしまい、そのため、私などは、常に戸惑いを持ちつつゲームを進めることになりました。
キャラクターの造形を、前作よりも、さらに男前路線に特化したのは、女性ファンに向けてのサービスであるのは間違いありません。
しかし、キャラ設定に関しては、男子中高生向けラブコメ漫画の特徴をもろに反映していたため、必ずしも当初の目的を果たしたとは言えなかったのではないでしょうか?(確か、作家の宮部みゆきさんは、リノアの言動に違和感を感じた、と、云うようなことを(大極宮)の中で書いてありました)。
ストーリーに関しても、私には、もう何が何やらさっぱり解りませんでした。
例えば、超常的要因が社会(ゲーム内における社会という意味です)に及ぼす影響によって、主人公たちの目的が定まるのであれば、いくらかストーリーの理解もし易いのかもしれません(推察の余地が生まれると云うことです)。
しかし、突出した内的世界に終始したストーリーを把握するのは、オメガウェポンを倒すよりも骨があります。
FF9で原点回帰を目指したのは、そうしたことへの反省があったのでしょうか?
と、まあ、私にとっては非常に厄介なゲームだったFF8ですが、CGに関してはとても驚きました。
金掛けてるな~。 と、思わず唸ってしまいそうになるCG動画ですが、特に印象に残っているのはオープニングです。
スタイリッシュな映像と、重厚なオペラが、スコールとサイファーの喧嘩を大いに盛り上げていき、コーラスの絶唱とともにリノアとスコールが再会を果たすラストは、いまだに鳥肌が立ちます。
エンディングの動画もかなり力が入っていましたが、個人的には断然オープニングの方がいいですね。
当時、他社と比べても、突出して完成度の高かったCGを作り上げていたスクウェアが、いかにCG制作に資金と労力を傾注していたかがよくわかります。
こうした傾向は、後にスクウェアの経営を逼迫させたといいますが、それでもCG全盛時代にゲーム業界をリードしていたスクウェアが作り上げたFF8のオープニングには、正当な評価をねじ曲げてしまう程の魔力を放って、人々を魅了していたのです。