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アシュラム

2009-05-21 17:27:25 | ヒーロー列伝

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 鬱屈した十代を過ごした者にとってのヒーロー像と、そうでなかった者のそれとでは、自ずからその性質に明らかな差異が生じることは、仕方の無い事であります。

 健全な精神生活さえ送っていられれば、世間が太鼓判を押す立派な人物を、自分の理想像として偶像化する事も容易なのでしょう。

 しかし、そうではない人の場合、社会的評価の高い人物ほど胡散臭く目に映らなくもありません。

 それは、社会の裏側にこそ関心が向く嫌いのある人ほど、その傾向は強いと思われます。

 そういう人であれば、自分の理想とする人物にしても、同じく屈託を抱いた者ほど魅力的に映るのも仕方がないのでしょう。

 さて、人がヒーローに求める条件は何なのでしょうか?

 偉大な功績。

 優れた才能。

 有り余る金。

 人々を啓蒙する思想。

 まねできない生き方。

 分類しようと思えば、いくらでも出来そうなこれらの条件も、究極的には二つに分けられるように思います。

 それは、世間に目を向ける者と、背を向ける者です。

 日本人に最も人気のある時代、幕末を例にして考えると幾らか分かりやすいかもしれません。

 現代人にとっては、一般的に、維新を成し遂げた薩長系の討幕派の若者こそが、日本の将来を憂いて戦った正義のヒーローとして捉えられているのではないでしょうか?

 しかし、戊辰戦争で薩長軍に錦の御旗が揚げられるまでは、彼らこそが体制に歯向かう反乱軍だったわけです。

 この反乱軍の中には、日本史を代表するテロリストである高杉晋作も含まれています。

 仮に、日本が維新を成し遂げることなく、近代化が遅れたとしたら、その後の日本人の精神性は全く違うものになったでしょう。

 幕末の志士などは、皆不満分子として区分され、当然、人々が憧れの目を向けることは少なかったはずです。

 政府が教育する理想の国民像というものも、薩長政府と徳川政府(架空の話ですよ!)とでは大きな違いがあったはずです。

 特に、拠って立つ所の少なかった薩長政府は、新興ヤクザ勢力よろしく、過剰に攻撃的になり、かつ、神話にすがって自己の正統性を保持しようと躍起になりました。

 それは、国力を増進して列強に対するのと同様に、新政府に対する国民の支持を得る事が急務であったためです。

 ただでさえ困窮を極めていた地方の農民から、さらに税金を徴収するための法律を施行したため、反乱が起こることも少なくなかったと聞きます。

 そうした、国民の不満やら不信やらを払拭するために必要だったのが、愛国教育だったのでしょう。

 歴史の先例に倣うのなら、愛国教育のための最も有効な手段は、偶像崇拝の他にありません。

 維新後の天皇の神格化などもその支柱でありました。

 討幕派の志士の美談が声高に語られるのに対し、幕府系要人のそれは、勝海舟に代表される開国論者などを別にすれば、一般の国民の耳に入るような名前はほとんど無いのではないでしょうか?

 と、なると、坂本龍馬の名前が国民的ヒーローとして認知されるようになったのは、日本人の精神史においても、ある種の転換点として捉える事も出来るはずなのです。

 さて、今回取り上げたアシュラムなる人物。

 彼は、「ロードス島戦記」シリーズ登場する、いわゆる敵役であります。

 主人公パーンのライバルとしてたびたび登場する彼は、悪の親玉である暗黒皇帝ベルドの後継者としての役回りを課せられ、次第にその存在感に深みを増していき、読み手によっては主人公を圧倒する魅力を放つようになります。

 英雄戦争後の戦後処理と、邪神戦争後のエクソダスに尽力した事も、アシュラムという人間を測るための大きな要素となります。

 惜しむらくは、物語の性質上なのか、あるいは作者の力量の問題か、思想的側面においてアシュラムという個性の本質に迫る描写がほとんど無いという事です。

 したがって、「ガンダム」におけるシャア・アズナブルと対比した場合、アシュラムのヒーロー性(ダークヒーロー、あるいはアンチヒーローとでも云うべきか)というものは表面的なものに限定されるという事です。

 それでも、世間に意見を持ちつつも、優等生ではあり得ない中学生諸君であれば、シャアと同様にアシュラムにも心惹かれるのではないでしょうか?


ドリッズト・ドゥアーデン

2009-05-19 16:04:05 | ヒーロー列伝

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ドリッズト(以下ド)「僕は、もう耐えられない!」

 しかし、耐えねばならない。ここで生きて行くにはそうしなければならない。

ド「だからといって悪を為して良いということにはならないでしょう」

 社会がそれを許している。蜘蛛の女王が望んでいる。

ド「しかし、こんなことは続けられない。してはならない!」

 慣れだ。慣れがお前を罪悪感から遠ざけてくれる

ド「そんなのは欺瞞だ!」

 欺瞞でも良い! 受け入れろドリッズト。

ド「ドロウにはこんな生き方しかできないのか? 別の道だってあるかもしれない」

  なるほど、お前ほどの才能を持つのなら、あるいは現状を変えられると思えるのかもしれない。しかし、アンダーダークに生きるドロウはすべからく蜘蛛の女王の下僕であることを宿命付けられている。個人の力でどうこうできるものではない。

ド「僕はここから出て行く!」

 何処へ行くというのだ。アンダーダークの闇という闇が蜘蛛の女王の領域なのだぞ

ド「如何にルロスでも、地上の光の中までは手出しが出来ないはずだ」

 バカな! ドロウが地上の日の光に身をさらすと言うのか。たちまち焼き尽くされてしまうぞ。いいか、才能を過信してはならない。個人の力で出来る事とそうでない事との区別が出来なければ、この先、己が身を滅ぼす事になるぞ。敵は外にだけ潜んでいるとは限らないのだからな。


ディードリット

2009-05-18 14:35:55 | ヒーロー列伝

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 これはもう、知る人ぞ知る、と、云ったところでしょうか。

 国産ファンタジーのファンであれば、原作を知らなくても、何らかの形で目に触れることも多いこのハイエルフの少女こそ、「ロードス島戦記」の登場人物の一人です。

 前回紹介した「指輪物語」の」レゴラスと同様、エルフ族であることは間違いないのですが、こちらは上位種とでも云うのでしょうか、ハイエルフという種族だそうです。

 常に、相棒である自由騎士パーンの後ろに控えていて、自ら率先して事態を展開させていく、ということはほとんどありません

 そのため、ディードリットから思想信条を酌み取ることは出来ません。

 これは、彼女に限ったことではなく、パーンをはじめとする主役級の人物のほとんどが、物語に関わっていく上での動機付けとしての信条(悪は絶対許せない!!)を有していることや、キャラクター形成のためのバックストーリーを備えている他は、世間との関係が希薄なんです。

 元が、テーブルトークRPGから始まった物語なので、キャラクターさえ際立っていれば、プレーヤーの行動を抑制しかねない諸々の事情は、極力排除した方が都合が良かったのかもしれません。

 エルフの設定が、物語によって大きな差異があるというのは前回話した通りですが、国産ファンタジーの、特にRPGにおけるエルフの特徴は、ディードリットの登場以降、これをスタンダードに定めた感があります。

 レイピアやエペといった細身の刺突剣を帯び、精霊魔法(あるいはそれに準ずる魔法)を操る魔法戦士。

 特にRPGにおいては、前線で剣を振るい、後方で支援魔法を唱えるなど、戦術においてもディードリットモデルが一般的ではないかと思います(ゲームによってはレゴラススタイルが取られる場合もありますが(ウィザードリィなど)。

 また、その造形についても、多くの作品のキャラクターに影響を与えているように思います。

 ヴァルキリープロファイル(PS)の主人公の女(名前をど忘れしてしまいました)の甲冑姿なども、元を辿ってみれば、ディードリットにそのモデルを見いだすことが出来るのではないでしょうか?


レゴラス

2009-05-17 16:44:18 | ヒーロー列伝

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 指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)の登場人物。

 森の王国のエルフの王子にして旅の仲間の一人。

 名前の意味は「緑の葉」。

 ファンタジーに馴染みの無い人にとっては、ただ「耳の長い妖精」として知られているエルフですが、その代表的キャラクターとして思い浮かぶのは、このレゴラスではないでしょうか?

 ファンタジーが文化の中に溶け込んでいる欧米に対して、非常に偏見の強い日本においては、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の公開がなかったら、エルフの名称すら広く知られることはなかったかもしれません(もしかしたら、未だに認知されてないかも)。

 千年の寿命を持ち、森と共に生きる彼らは独自の社会の維持に固執し、非常に排他的であり、多種族との交流を拒む。

 極めて高い知性を備えているが、それを以て文化の向上や文明の興隆に活かそうという志向には至らない。

 高慢・高圧的であり、常に多種族を見下す。

 争いを嫌う。

 華奢な体付きで、身長もそれほど高くない。

 先端のとがった長い耳、白い肌、金あるいは銀髪。

 と、まあ、エルフの一般的特徴としてはこんなところでしょうが、世界中の数あるファンタジー物語によっては、その設定に微妙な違いを見せるようです。

 映画版では、レゴラスの配役をオーランド・ブルームが務めた通り、エルフ族の面々は、皆、美形揃いです。

 レゴラスは、アラゴルンら旅の仲間として行動を共にするなど、エルフ族の枠にはまらないキャラクターです。

 戦闘でも、得意の弓矢で敵を次々射殺していくなど、なかなかに逞しいエルフの戦士ぶりを見せています(映画版では特にそう感じます)。

 世界で最も知られたエルフの一人がレゴラスであるというのは、以降のファンタジー物語に大きな幅を持たせたと言えなくはないでしょうか?


ロメオ・ギルデンスターン

2009-05-14 15:36:29 | ヒーロー列伝

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 ベイグラントストーリー(PS)の登場人物の一人。

 法王庁直属の特殊部隊クリムゾンブレイドの隊長。

 バルドルバ公爵邸占拠事件から、魔都レアモンデにまつわる三つ巴の抗争の一角を担う。

 きわめて有能な人物であり、組織人としての面目を保ちつつも、自己の利益を優先させるしたたかさを持つ。

 現代人が心得るべき処世の規範を、無理なく体現させた、このスマートな男の口車に乗せられた女がいたとしても、それは仕方がないこと。

 結局、彼の企ては、アシュレイ・ライオット氏の覚醒のための露払いでしかなかったわけだが、レアモンデに代表される古代キルティア時代の遺産に、新たな価値を見いだすことができたのは、小さくない収穫と言える。