快読日記

日々の読書記録

「おやじがき 絶滅危惧種中年男性図鑑」内澤旬子

2012年06月13日 | その他
《6/12読了 講談社文庫 2012年刊(2008年に刊行された単行本に加筆訂正して文庫化) 【イラストルポ おやじ】 うちざわ・じゅんこ(1967~)》

偉そうな風体のおやじも、ヨレヨレにしょぼくれたおやじも、きっと中身はみんな小5男子なんだろうなあ。
言い過ぎか、中1くらいかな。
とにかく、
中身は心細い男の子のまま、容貌だけはグイグイ大人になり、おじさんになり、おじいさんになる。
外見に釣り合う内面を持てないまま、年齢の数字だけがどんどん進んじゃっているのではないか。
ふてぶてしい面構えのおやじの中で、やせた少年が「こんなのボクじゃないやい!」と泣いているのではないか。
だから帯にある「男は枯れるのか、煮詰まるのか」は、どっちも違う気がする。
残酷な話です。すべて妄想だけど。
おばさんもまたしかり、と言いたいところですが、
女の子は小6ころからすでにおばさんなので、あとは容貌が実体にどんどん追いついてくるだけなんですねこれが。

そんな切ない男の子たちを町で見つけて巧みにスケッチし、絶妙な解説を付けた本がこれ。
なんだかんだ言って、内澤旬子大好きみたい。
20分ほどで読めてしまいますが、くりかえし手に取ること必至の1冊です。
56番の、自分の顔を掻いて爪に入った皮膚を食べているおじさんがすごい衝撃。
仲良くなるなら60番のラテン系おやじかな。

コレクションされたおやじは全部で86人。
あなたのお気に入りは誰?

→「身体のいいなり」内澤旬子

→「世界屠畜紀行」内澤旬子


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