快読日記

日々の読書記録

「丸の内魔法少女ミラクリーナ」村田沙耶香

2020年09月30日 | 日本の小説
9月25日(金)

「丸の内魔法少女ミラクリーナ」村田沙耶香(角川書店 2020年)を読了。

表題作は、小学生のときの「私は魔法少女ミラクリーナである」という設定を守り続けて生きる36歳の話で、ほか3作が収められた短編集です。

村田沙耶香は、きっと「性」とか「感情」とか、そういう、人間の核の部分にあるドゥルッとしたもの(生卵の白身みたいな)が気になって仕方ないんですね。
それを外に引きずり出して格闘してみたり、中に溜めたまま撫でたり擦ったり、そんな作品集だと思いました。

最後の「変容」という作品は、
親の介護で2年間社会と接点が持てなかった女性が久しぶりにアルバイトを始めたら、
世間では「怒り」を持たない人間がトレンドになっていた、という話です。
怒りは6秒で治まるとかいう「アンガーマネジメント」なんて言葉がありますが、そっちに話がいくと思いきや、例えば「今年の流行色」みたいに「性格の流行」を誰かが決めている、という展開だったのが意外でした。
ここに出てくる「エクスタシー五十川」という50代女性が本当におもしろかった。
コントとして上演したらいいかもしれないです。
五十川さんは松尾嘉代みたいな人がいい!
草食動物の群れの中でも燦然と輝く肉食恐竜みたいな。