快読日記

日々の読書記録

「介護うつ」清水良子

2020年08月02日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
8月2日(日)

「介護うつ」清水良子(ブックマン 2009年)を読了。

わたしの介護生活も4年めに突入しまして、
怒涛の1年めに比べたらだいぶ平穏な今日この頃なんですが、
そんな今だからこそ、後学のためにも読んでおこうと思いまして。

亡くなった清水由貴子さんの実妹の手記です。
この妹さんと二人で、お母さんの世話をしていたんですね。

タイトルは「介護うつ」ですが、
うつの症状がどんなものだったかについてはそれほど触れられていません。
(そういえば、ちょっと様子が変だった、というかんじ)
ざっくりいえば「思い出話」と「事件の顛末」が語られています。

どの家にもそれぞれ事情があるから、一概にああだこうだは言えないけど、
この本から学ぶとしたら、
辛かったりしんどかったりしたら、とりあえず誰かに愚痴れ!ということです。

10代のときから一家の大黒柱として仕事をし、家まで建て、昔からずっと体が弱かったお母さんをみてきて、
なんというか「もういいや。もうだめだ。」みたいになることもあるだろうな、と理解できます。
勝手な想像をゆるしてもらえるなら、
介護がしんどくて死を選んだという単純な話ではなく、
もっと複合的にいろんな要因が絡み合った挙げ句のことだと思いました。

愛読していた五木寛之の本には、書きかけの読者カードが挟まっていて、
短いそのメッセージを見ると、
9歳でお父さんを亡くしてからずーっとひたすら頑張ってきて、
やっと50歳手前まで来たところに、
お母さんの介護は“最後の藁”になってしまったんだと察します。

「徹子の部屋」に出たときには自らを「人に相談するってことができない」と分析していました(読後、Youtubeで見た)が、
人に相談するってことは、ある程度現状を把握してまとめる作業が必要なので、
それができたら解決まではあと1歩、なんですよね。

福祉の世話になることすら申し訳なく感じてしまうような生真面目な性格が、悪い方に作用して招いた不幸だと思いました。