快読日記

日々の読書記録

「女ひとりで親を看取る」山口美江

2021年05月08日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
4月30日(金)

認知症のお父さんとの生活をつづった「女ひとりで親を看取る」山口美江(ブックマン社 2008年)を読了。

認知症という病気の“ぶっ壊れていく感”が生々しく伝わります。
どんどん進行していく病気は、本人も辛いけど家族も不安だし恐怖です。
自分だったらあっさり白旗をあげるのか、
それとも、そうなったらそうなったで乗り切れるのか、
うまく想像できません。

しかし、当事者には乗り切れるかどうか悠長に考えてる暇もないわけで、
最終的に「ひとりで介護するには限界」と言われるところまで行ってしまった山口美江には同情するし、
共感もしてしまう。
だけど、もうちょっと早い段階から他人の手を借りてもよかったですよね、って言っても届きませんが。


自分は強いんだ、という認識で生きる人をわたしは好きだけど、
そういう人ほど脆いんだと気づきたい。


かなり悲惨と言われても仕方ない話を、
そう感じさせない冷静な文章に、
山口美江のダンディズムが漂います。