快読日記

日々の読書記録

「騙されてたまるか 調査報道の裏側」清水潔

2015年09月14日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《☆☆☆ 9/6読了 新潮新書 2015年刊 【ノンフィクション 調査報道】 しみず・きよし(1958~)》

記者自らが事件を捜査して報道する「調査報道」。
足利事件や桶川ストーカー殺人事件などを取材し、事件を解決に導いた人の本。

まず、日本でひき逃げや殺人などの罪を犯して祖国に逃げたブラジル人を追いかける第一章からすごい話。
また、冤罪が明らかになった足利事件、その真犯人は判明しているにも関わらず、時効のおかげで今も娑婆でのうのうと暮らしているという話には、怒りがこみ上げます。
人を殺しておいて逃げ切るなんてことが許されるわけがない。
筆者は心血をそそいで事件を追及します。
低い目線で世間を、事件を、犯人を見つめ、被害者とその家族に寄り添いながら、悪い奴にはとことん厳しい。

そこに「悪い奴を逃してたまるか」という怒りはあっても「正義感→正しい自分が悪い奴を懲らしめる」とはちょっと違うかんじがあって、それが筆者への信頼につながりました。

/「騙されてたまるか 調査報道の裏側」清水潔