快読日記

日々の読書記録

「悩む力」姜 尚中

2008年10月02日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《10/1読了 集英社新書 2008年刊 【日本のエッセイ】 かん・さんじゅん(1950~)》

「悩む力」とは「答えを出す力」や「答えにとびつく力」ではなく「考え続ける力」なんですね。

"私たちは100年前の漱石やウェーバーと同じ壁にぶつかってる!(帯より)"というわけで、
「それから」「門」「夢十夜」など"悩みの先輩"夏目漱石作品が取り上げられ、
その分析・読解は明快で鋭く、かなり爽快でした。
学生時代にゼミなどでみんなでつつき回した漱石作品、
あのときの自分に教えてあげたい指摘ばかりです。

現代人の抱える「悩み」はいわゆる「肥大した自我」に端を発するもので、
日の出とともに起き、食うために額に汗して働き、星空の下で眠る、といった時代にはなかった悩みです。
人はなんのために生きるのか、人生にはどんな意味があるのか。
わたしはそういうことを近頃とんと考えなくなったので、あまりぐっと来ませんでしたが、
この本がベストセラーになる理由はなんだか分かる気がします。

ちょっとひねくれて「漱石本」として読んでしまったわたしですが、それもまたよし、ということで。

姜尚中氏の俳優デビュー、楽しみです。かっこいいし美声だし、いけそうですねv