快読日記

日々の読書記録

「ぼくらが子役だったとき」中山千夏

2008年09月27日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《9/26読了 金曜日 2008年刊 【インタビュー集】 なかやま・ちなつ(1948~)》

「まえがき」の「世界で初めて体験者自らが語る『子役』の状況と意見」という言葉がいきなり引っ掛かるスタートです。
(すでにそういう本は複数あるから)

登場するのは14人。
(松島トモ子/小林綾子/長門裕之/浜田光夫/四方晴美/柳家花緑/小林幸子/和泉雅子/水谷豊/風間杜夫/矢田稔/弘田三枝子/和泉淳子/梅沢富美男)

聞き手自身が元・子役という点が、かえって裏目に出たというのが正直な感想です。

それぞれのエピソードを中山千夏が「私もそうだった」という無意味な同調で封じ込めたり、そこを突っ込んで!というところをスルーしたりするので、話が深化しないのです。
自分にもなまじ似た経験があるからか、「とことん聞きたい!」という気持ちに乏しく、何が聞きたいのかわからないインタビューになっちゃっています。
聞き手が読者側から質問するからインタビューが成立するのであって、対象の側で話をしてたらそれは対談です。

中山自身が、この「子役」という特殊な経験を持った人達に、「自分と同類」という以外の興味を持ち合わせていないようにも見えます。
この人は、人の話を借りて自分を語りたいのだと思いました。
インタビュアーの自己顕示欲が邪魔をすると、焦点がしぼりきれずに話が浅くなるんですね。

でも、梅沢富美男、小林幸子、柳家花緑、風間杜夫の項はおもしろかったですv