快読日記

日々の読書記録

「落語的ニッポンのすすめ」桂 文珍

2010年07月23日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《7/22読了 新潮文庫 2010年刊(2007年に新潮社から刊行された単行本を文庫化) 【日本のエッセイ】 かつら・ぶんちん》

とにかくおもしろくて、明るくて、精力的で、頭がよくて、実は結構ものの見方がピリッと厳しかったりして、
なんて素敵なおじさん。
こういう人とつきあったら毎日楽しいだろうなあ。

…夢想はさておき。

昨年、桂文珍全国独演会ツアーに行きまして、
これがもう、大袈裟じゃなく終始笑いっぱなし。
スピード感と安定感を兼ね備えるという驚異的なその高座で、
わたくし、笑い疲れてヘトヘトになるという貴重な経験をいたしました。

十数年前に読んだ大学での講義録「落語的学問のすすめ」は、
その高座のようなライブ感・疾走感がビシビシ伝わり、
パッと目が覚めるおもしろさ。
一方、自身の手で書かれているこの本は、
慎重で的確かつ巧みな言葉選び、話の焦点の鮮やかさ、キラキラした好奇心、思考の足腰の強さなどが際立ち、
読んでると胸の奥からフツフツと何か(例えば活力)が湧いて来るような楽しさと刺激が味わえます。