快読日記

日々の読書記録

読了『れんげ荘』群ようこ

2016年10月10日 | 日本の小説
10月9日(日)

群ようこ『れんげ荘』(角川春樹事務所)を読了する。

古谷実みたいに、まったく同じテーマを書くことをひたすら繰り返しているとしか思えない群ようこだが、
今回はたった一人、最後に小さな理解者を得るところでこの話が終わるのが印象的だ。

たぶん、どんな人間でも今自分が抱えている問題が“世界中で自分だけのこと”と思えばパンクしてしまうけど、
たったひとりでも「わかるよ」と言ってくれる人がいれば大丈夫、という話なんだろう、と解釈した。

すべての男は異性から生まれる、生まれ落ちた時点から男が抱える不安の原因はそこにこそあるんだ、と誰かが言っていたが、
同性から生まれてくる「女」が抱える煩わしさや苦痛はどう解消できるのだろう。

子供を産めばいいのか、年をとればいいのかな。

アナイス・ニンや森茉莉みたいな“父と娘”問題もあるが、いまひとつマジョリティの関心を得られないという意味でも“母と娘”の葛藤は根深いテーマだと思う。