快読日記

日々の読書記録

「プロレス・格闘技 超"異人"伝」

2011年07月02日 | プロレス・相撲・ボクシングなど
《7/1読了 スーパーバイザー/吉田豪 洋泉社 2006年刊 【プロレス】》

次々と新ビジネスを立ち上げ、永久電機という夢を追いかける闘魂兄弟、
日本にモサドみたいな諜報機関を作ろうとしているタイガーマスク、
プロボディガード集団「闇部隊ブラック」の命がけの入門テストに合格、入隊が決まった直後、欽ちゃんの弟子になった殺人武術の継承者、
少年時代、ひょんなことから忍者屋敷にたどりつき、そこで忍者の弟子になったら、兄弟子が犬だったという仙人、
誰も見ていないところでも人に襲いかかるインド人、
などの「異人(むしろ偉人)」列伝。

…と言うと、なんだかお笑い本みたいですが、そんな単純な本ではないんですこれが。

例えば船木誠勝は6歳のとき、初めて映画館に行って「燃えよドラゴン」を見た。
その感想が「なんでこんな大きな画面で見せられるんだ!」。
あるいは私淑する松田優作と自分を比べて「優作は優しさに作ると書く、俺の本名は優しさに治で優治、不思議だ…。」
こんな調子の船木ですが、彼のインタビューって、読んでるうちに気持ちよくなってくるんですよね、目が奇妙なほど穏やかに澄んでいて、藤岡弘、みたいだからかな。不思議だ…。

他にも、長州力のラリアットに象徴されるファストプロレスに対して、じっくり戦うスロープロレスを提唱する西村修、
真のナショナリストはインターナショナリストであると説く、骨法の堀辺正史、など
気が付くと「そうだよなあ」なんて頷いてしまう、戦う男たち恐るべし。

最後に「週刊ファイト」のI編集長こと故・井上義啓氏のこんな発言を引用します。
「前田とまともに話してみろよと。猪木にしたってそうだよ。物凄い教養があるんだな。だから俺はプロレスラーが奇人だとかいうことは喋りたくないんだよな。ハッキリ言って俺らより上だよと。」

/「プロレス・格闘技 超“異人”伝」
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