快読日記

日々の読書記録

「別冊宝島 プロレス黒い霧」/「お父さんのバックドロップ」中島らも

2012年03月15日 | プロレス・相撲・ボクシングなど
《3/13読了 「お父さんのバックドロップ」集英社文庫 1993年刊 【日本の小説 短編集】なかじま・らも(1952~2004)》

この別冊宝島プロレスシリーズも、金銭がらみの裏事情やWJ崩壊の顛末、なんていうあたりはそれでもまだおもしろくて、
プロレスラーって人生そのものがプロレスなんだなあ、という変な感動もあったりしたものですが、
この「黒い霧」はもうだめ。
ノアが巻き込まれた詐欺事件に始まり、元レスラー死亡「事故」、練習生が亡くなった「事故」など、読んでて鬱々としてきました。
ほとんど“犯罪実録”。
腐乱したプロレスの死体をつつき回し、その病巣をほじくりかえして、一体何がしたいのか。
この本を作る人たちにあるのはプロレスへの愛か憎悪か。
もし愛ならかなり倒錯しているし、憎悪で本を作るなんて労力の無駄。
まあ、それを読んでる自分てのがまた始末に負えないわけですが。
あんまり気が滅入ったので、すがる思いで「お父さんのバックドロップ」。
こちらはちょっと切なく、でも心が温まります。
悪役プロレスラー、落語家、動物園の園長と魚河岸の大将、テレビマンという5人のお父さんが登場するおもしろくてほろ苦い4つの短編集。

「おもしろいのは、大人というのは子どもが大きくなって、まったく性質のちがう『大人』というべつの人間になるのではないということです。大人には子どもの部分がまるごと残っています。子どもにいろんな大人の要素がくっついたのが大人なのです。そう思って、きみたちのお父さんを観察してみると、このことはすぐにわかるはずです。(あとがき 179p)」


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