“ボクシング”は、ハングリーなスポーツである。他のスポーツ同様に誰も助けてくれず、修練、精神力、達成感は個人に帰するところが特に大きい。
このスポーツを、鈴木直道北海道知事は、法政大学時代に行なっていたそうである。だから彼は、粘り強く打たれ強いし、逆に人の痛みもよく分かるように思う。大学ではボクシング部主将を務め、「2002年度の国民体育大会ボクシング競技」の東京都代表選考フェザー級の準優勝を果たしている。
彼が敢えて東京都職員から出向した夕張市は、2007年、事実上の財政破綻をした。最盛期には約12万人も住む炭鉱の町であったが、今年3月末の人口は、実に最盛期の5%の7千人を割っている。
昭和30年代以降、石炭から石油へのエネルギー革命により、夕張市は急速に人口が減少し、65歳以上の高齢化率は50%超と市の中では全国一番である。
5年前、彼の(当時、夕張市長)の講演を帯広畜産大学で聞いてきた。彼は、「30年後の東京も今の夕張市と同じ状態になっているかも知れない」と語ったが、まさに我が国はそのように進んでいるのかも知れない。
『縮小する日本』は、人口減少にどのように対処していくのだろうか。夕張市では市役所の職員が減り続けて、アルバイトの臨時職員で何とか行政機能を果たしている。
日本全体では、夕張市ほどの人口減少は予想されていないが、夕張市のように財政が経ちいかなくなる自治体が続出するだろう。日本の人口減少は始まったばかりで、これからの社会はその影響を緩和するように意識を変えていかなければならないと思っている。すなわち、ボクシングのように、危機感・緊張感、負けず嫌い、ハングリー精神、持ち味発揮で対応していかねばならない。
私の友人も、大学時代にボクシン部に所属していたらしく、鈴木知事と同じように打たれ強い人物である。現在の違うところは、現役を退いてからは釣りが趣味で酒に目がないところである。毎年来る年賀状には、釣果の写真が載っている。彼は筑豊炭田の出身で度量と繊細さを持った人柄で酒、麻雀も豪快であった。
話は変わるが、十勝から130キロ離れたところに釧路市がある。釧路は、昭和44年(1969年)から9年間も続けて、水揚げ量日本一を記録した漁業の町であったが、地球温暖化で漁獲量も減少し魚種も変わってきたそうだ。このように地球温暖化の影響ははかり知れない。先の釣り好きの同僚も不釣果を嘆いている。一方、ある大学教授によれば、地球温暖化で“北極海航路”が通年にわたって通行可能になり、釧路がヨーロッパとの物流拠点になる可能性があるとも語っていた。
近時、鈴木知事の働きかけで次世代半導体のラピダス新工場の千歳市への誘致が決まった。㈱ラピダスが北海道を選んだ理由について、豊富な富な水資源や再生可能エネルギーの供給能力などであったらしい。
10年間に5兆円の投資が見込まれており、鈴木知事によると、北海道として過去最大の投資規模の企業誘致らしい。だから、地の利を活かし、“ハングリー精神”でこれからの北海道の変わりようを期待している。
「十勝の活性化を考える会」会員