先日、3年前の72時間テレビで行なった“樹木葬”(桜の下のあなたへ)を再放映していた。樹木葬は自然葬の一部で、散骨とは異なり墓地として認可された山林墓地などにお骨を埋葬することである。
一般的には墓石は作らず植林や花木などを墓標にし、やがては土に帰っていくという「自然への回帰」という点で人気を集めている。好きな樹木のもとで眠り、核家族化でお墓の継承を心配しなくても良いという点も人気の理由である。
ところで、土葬が一般的に行われていたアメリカでも火葬が行われることも多くなったらしい。キリスト教では肉体が残っていることが大切ではあるが、火葬が行われるようになったのには理由がある。
もちろんアメリカでは昔から火葬が行われていたが、住まいから離れた場所で亡くなり、帰省するまでに時間がかかるためであった。アメリカの墓地の商業化が進むと、一見墓地とは分からない景観が広がる墓地が増えた。墓は高さのあるタイプの墓石ではなく、プレートを埋め込むタイプの墓が多くなった。
宗教的な死生観ももちろん大切なことではあるが、火葬も土葬も環境にやさしい埋葬方法ではないという考えから、新たな埋葬方法が研究されている。アメリカで流行っている自然還元葬は、地球に優しい死体処理とされ、コスト面に関しても土葬と火葬のどちらよりも抑えられるようである。
自然還元葬は、遺体を藁やチップなどの自然素材で覆い、3週間から7週間をかけて微生物が分解する方法である。個人墓か家族墓だという違いだけでなく、日本とは異なる死生観であることから、日本とは墓事情が大きく異なることが分かる。
日本で最も信者数が多い宗教は仏教である。日本で火葬が行われるのは、仏教の開祖と言われている釈迦が火葬されたことが影響して、火葬によって魂を天に送るという考えが火葬埋葬の始まりである。
最近、日本ではコロナ禍もあり家族葬が増えているが、気持ちが入っていない単なる儀礼的なものに意味がないと思っているので、これからは広まっていくと思っている。
「十勝の活性化を考える会」会員