十勝の活性化を考える会

     
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#“プーチンの野望“の本

2022-08-09 05:00:00 | 投稿

先日、佐藤優著の“プーチンの野望”の本を読んだ。この本には、プーチンの人となりやロシアのウクライナへの軍事侵攻のことなどが書かれていた。この本の一部に、こんなことが書かれていた。

(前略)1994年12月、ウクライナは世界史に残る画期的な決断をする。自国が保有する核兵器をすべて廃棄する「ブタベスト覚書」に署名したのだ。「ブタベスト覚書」の調停役となったのは、アメリカとイギリス、ロシアの3カ国だった。「ブダベスト覚書」では、核廃絶を実現する代わりにアメリカとイギリス、ロシアが領土不可侵の原則を守ることに調印した。

ところが、2014年3月、ロシアは「ブダベスト覚書」を反故(ほご)にしてクリミア半島に侵攻する。さらに周知の通り、ドネスク州やルハンスク州の一部に実効支配の手を伸ばした。

この事実を持って「旧ソ連から引き継いだ核兵器を放棄しなければ、今回のウクライナ侵攻はなかった」という説がある。さらに自民党の一部の政治家が日本は「ニュークリア・シェリング(核共有)すべきだ」という勇ましい言説を口にし始めた。

すでに日本はとっくの昔から、アメリカの「核の傘」のもとで安全保障を担保している。独自に核保有しなくとも、日米同盟のもとで日本は75年以上にわたって安全保障を担保してきた。

にもかかわらず、ニュークリア・シェアリング云々と言い出すとは、要するに、「アメリカの核の傘は信用ならない。日本で有事が起きたとき、アメリカが助けてくれるとは限らないではないか。核が自分の手元になければ安心できない」という意味だ。アメリカの信頼が落ちているから、与党政治家がこのような言説を口にする。

核抑止力によって、どこまで確実に平和を担保できるのだろう。そもそも核抑止力という考え方そのものが、「神話」に過ぎない。アメリカやNATOに核兵器さえあれば抑止力が働き、核大国を当事国とする大規模な通常戦争はおきないはずであった。

しかし現実には、ウクライナ侵攻のように大規模な戦争が起きてしまった。ウクライナがロシアから侵攻を受けたからといって、あわてふためいて「日本は核武装すべきだ」と言い募るのはナンセンスだ。

今後、一発でも核兵器が発射されれば、人類は破滅に向かって突き進んでいくことになりかねない。そのような物騒な兵器は、世界からひとつ残らずなくすのが一番いい。(後略)

日本は、非核三原則の国である。非核三原則とは、核兵器「持たず、つくらず、持ち込ませず」の三原則を指すものである。ただ、2014年の自民党政権でも非核三原則自体は堅持するものの、緊急時の日本へのアメリカの核の持ち込みには、反対しないと表明している。

平和主義者の外務省にいた佐藤優氏も言っているように、一刻も早く戦争を止めさせるべきである。そして世界はいま、戦争よりも大変な地球温暖化という事態が起こり始めているのである。

「十勝の活性化を考える会」会員