tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『博士と彼女のセオリー』…映像美と軽快さ

2022-08-23 22:49:26 | 映画-は行

 『博士と彼女のセオリー』、ジェームズ・マーシュ監督、2014年、イギリス、124分。原題は、『The Theory of Everything』。

 

 天才理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士と、最初の妻ジェーンのストーリー。
 原作はジェーンによる手記、『Travelling to Infinity: My Life with Stephen』とのこと。

 

 言わずと知れた、「車椅子の物理学者」、ホーキング博士。

 21歳の時にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、余命2年と言われながら、76歳で亡くなるまで研究を続けた(1942-2018)。

 映画では二人の出会いから、発症、結婚、ホーキング博士の成功、そして家庭生活、ジェーンによる介護と子育てが描かれる。

 

 

 「時間の始まりを、シンプルでエレガントな一つの方程式で表したい」。

 

 宇宙が、ブラックホールが、どんな形状でどんな性質を持っていて、どんな仕組みで動いているのか。宇宙において、時間とは何なのか。

 

 方程式の解き方もほぼ忘れてしまった自分だけど、やっぱり宇宙にはワクワクする。

 世界の解釈は人それぞれで、隣の人が自分と同じ世界を共有しているかと言うと、それは怪しい。唯一共有しているのは、まだ見ぬもの、知られざるものへの探求心と解釈への想像力なのかもしれないなと思った。

 

 1991年、ジェーンと博士は離婚する。

 その後お互い再婚もしたけれど(博士は再び離婚)、博士が亡くなるまで、良い関係を続けていたという。それが信じられるのが、この作品の良いところ。

 

 「無限大の全てなるもの」。この映画のように、全てのラブロマンスがそこに集約されたら幸せですね。

 

 

 ちなみにこの映画は脚本の完成に10年掛かったそう。しかし公開は博士の存命中。博士のコメントも聞きたかった!

 

 第87回アカデミー賞主演男優賞、第72回ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞(ドラマ部門)、最優秀作曲賞受賞。

 (アカデミー賞では、作品賞・主演女優賞・作曲賞にもノミネート。ゴールデングローブ賞では、最優秀作品賞・最優秀主演女優賞にノミネート。)

 

主演のエディ・レッドメイン。↓ 筋肉の動かし方を研究し、また相当な練習を積んだとのこと。時期によって変わる筋肉の動きを見せる秀逸の演技。

 

 


『恋に落ちたシェイクスピア』…1595年っていつやねん。

2022-08-16 16:51:00 | 映画-か行

 脚本が素晴らしいな。

 

 シェイクスピアが『ロミオとジュリエット』を書いたと言われるのが、1595年。

 その経緯を虚実織り交ぜストーリーにしたのが、この作品。史実(と言われるもの)の裏打ちが効いている気がする。

 

 作家兼俳優のシェイクスピアはまだ青年で、巷の知名度はあっても、社会的地位や轟く名声はない。これからステップアップという時期だが、スランプに陥っている。

 そんな、『ロミオとジュリエット』前夜…。

 歴史的に「シェイクスピア中期」と言われる全盛期は、いかにして訪れるのか?!

 

 スリリングな展開が、本筋のストーリーと劇中劇のオーバーラップで、テンポ良く描かれる。飽きないし、風俗を見ているだけでも楽しめる。

 

 「虚実」の、さらに「虚実」の、さらに「虚実」の、さらに「虚実」。

 どこまで行くの?

 そう、これは今から5世紀前。はるか昔の、儚くきらびやかで少し笑える、希望と愛の物語。

 

 ラストシーンが良いですね。

 もう24年も前の作品なので、ラストシーンを言っても良い気がするけど、言うとつまらないので、言わない。

 

 

 ジョン・マッデン監督、1998年、米、123分。原題は、『Shakespeare in Love』。

 出演は、グウィネス・パルトロウ、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ、コリン・ファース、ベン・アフレック、ジュディ・デンチなど。

 第71回アカデミー賞、作品賞、主演女優賞、助演女優賞(ジュディ・デンチ)、脚本賞、作曲賞(ミュージカル/コメディ部門)、衣装デザイン賞、美術賞、受賞。

 監督賞、編集賞、撮影賞、音響賞、音響編集賞は、同年公開のスピルバーグ監督『プライベート・ライアン』が受賞。二分する形に。

 

 

 ※ちなみに1595年は、日本では文禄4年。豊臣秀吉が世で猛威を振るっていたようです。

 

 

脇を固める俳優さん達も注目↓個人的にジェフリー・ラッシュとジュディ・デンチが好き。もはや伝統芸。

 

 

 

 


『テスラ エジソンが恐れた天才』…夢への距離

2022-08-13 22:31:01 | 映画-た行

 ニコラ・テスラ、1856-1943年。セルビア生まれ、ニューヨークにて没。

 

 一応、事実と言われていることを元に作られているようだけど、少し変わった伝記作品だった。

 「孤高の天才」というのは、確かに描きずらそう。「饒舌な天才」だったら違ったかな。

 

 それはともかく、「夢への距離」ということを考えた。

 

 ニコラ・テスラが頭の中で考えていることは、人に説明し、人を納得させるのには少し難しいことだったのかもしれない。

 性格は潔癖症で、人を寄せ付けない。それも別にいいんじゃないかな。

 

 でももうちょっと目の前の幸せを感じられる質だったら、良かったのにな。と凡なる民は思った。

 知らないけど(笑)

 

 好きな人の手を取り、雲を眺め、花の匂いをかぎ、ああ今日も幸せだな~とビールを飲む。もしくは一人で我が城に籠もり、ゴロゴロしながら、大好きな柿の種をお腹いっぱいまで食べる。(これは今日の私…)

 

 86年の生を全うした、偉大な発明家。ノーベル賞候補にもなった彼は、Wikipediaによれば、最後はホテル暮らしで、ほぼ無一文だったとのこと。

 ありがとう、ニコラ・テスラ。多分、割と幸せだったよね。

 

マイケル・アルメレイダ監督、2020年、米。103分。原題は、『Tesla』。

出演は、イーサン・ホーク、カイル・マクラクラン、イブ・ヒューソン(U2のボノの娘さん)、などなど。

 

 

 

 


『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』…オマージュとは

2022-08-09 00:00:38 | 映画-さ行

『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』、コリン・トレヴォロウ監督、米、2022年、147分。原題は、『Jurassic World : Dominion』。

 

 第一作目公開から、早29年。完結編ということで観てきた。

 「メディア・フランチャイズ」という形で、小説・映画・TV番組・ゲーム等、複数多岐にわたる関連作品が製作されたこのシリーズ。そもそも原作の出版前に映画会社が権利の争奪戦を繰り広げたそうで、約束された「メディア・フランチャイズ」シリーズである。

 

 それはさておき、第一作目から並べてみよう。

 

1993年  『ジュラシック・パーク』(原題:Jurassic Park)。 スティーブン・スピルバーグ監督、127分。

1997年  『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク2』(The Lost World : Jurassic Park)。 スティーブン・スピルバーグ監督、129分。

2001年  『ジュラシック・パークⅢ』(Jurassic  Park Ⅲ)。 ジョー・ジョンストン監督、94分。製作総指揮、スピルバーグ。

2015年  『ジュラシック・ワールド』(Jurassic World)。 コリン・トレヴォロウ監督、125分。製作総指揮、スピルバーグ。

2018年  『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(Jurassid World : Fallen Kingdom)。 J・A・バヨナ監督、128分。製作総指揮、スピルバーグ、トレヴォロウ。

2022年  『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(今作)

 

 第1作と第2作は、スピルバーグ監督。原作があるのもこの2作までで、後はキャラクターを受け継ぎながらのオリジナルだ。原作の作者は、マイケル・クライトン。

 

 「生命の力」_生きようとする力を侮るべからず、というテーマが今作で回収される。

 

 

 実は(?)2021年に予告として公開され、しかしカットされてしまったプロローグ映像がある。

 本編が長くなり、監督は断腸の思いでカットしたそうだけれど、この映像を採用して欲しかったな。

 ストーリー的に前5作へのオマージュを詰め込み過ぎて、長くなってしまったのだろう(今作は最長の2時間27分)。しかし個人的に思うのは、この映像自体が、最大のオマージュと成り得るのではないだろうか。29年の間の技術の進歩や、思いの増幅も含めて。

 惜しい。

 

 

 第3作目からの主役、クリス・プラットは好きだな。アクション俳優としては、マーベル作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヒーロー等を演じている。

 本編は良いシーンも沢山あったんだけど、詰め込み過ぎで散漫な感じがした。そこが回収出来なかった感が否めない…。(個人の感想です)

 あのプロローグ映像を入れてくれてたら、大スクリーンで感動出来たかもしれないけど。

 

 私は今、声を大にして言いたい。我々は大画面で動く恐竜をこそ見たいのだと!(個人の感想です)

 

ジュラ紀白亜紀の恐竜達の映像美。カットされたプロローグ映像↓

 

新旧のヒーロー達と、今作参加のヒーロー・ケイラ役のディワンダ・ワイズ(右端)↓

 


ドライブ旅行と入道雲

2022-08-04 13:26:38 | 日記

 先日、名古屋に二泊で行って来た。

 東名の町田インターから名古屋まで、ひたすら一直線。休憩を挟んで5時間くらいだったかな。

 

 仕事を兼ねての旅行というのもあり、カプセルホテルとビジネスホテルに泊まった。

 初のカプセルホテルは、とても居心地が良かった!スーパー銭湯にカプセルが付いている感じ。一度泊まってみたいと思っていて、カプセルに入る時には少しドキドキした(笑)

 子供の頃に一度だけ乗った、寝台列車みたいな感じかな。秘密の部屋というか何と言うか…。

 中は案外広々していて、布団も寝心地が良く、実際家にあったらいいなぁ。家に置く際は、オプションで開閉式の窓があってもいいかな(笑) いや、何となくね。家族との交流用に。って、どんだけ入ってるつもりですか。

 

 ビジネスホテルの方は、チェックインもチェックアウトもタッチパネル方式で、最近のビジネスホテルはこんな感じなのかなと妙に感心した。部屋も思ったより広く、快適だった。

 駅の近くだったので、カーブして構内に入ってくる電車が窓から見下ろせた。電車って長いな、とこちらも妙に感心した。

 

 名古屋では熱田神宮とノリタケの森に寄り、後はほとんどドライブ旅行。三重県の四日市市まで足を伸ばした。

 

 ひたすら晴れて、ひたすら暑く。

 

 入道雲を見ていると、ふと自分がどこにいるのか分からなくなる。

 幹線道路の変わらない景色と相まって、時間の感覚も薄くなり、ただひたすら前に進む。知らない町も知らない人も、同じ青い空と同じ入道雲を共有している。

 ただ、それだけ。という満足。

 

 旦那と交代で運転したけど首が疲れていたようで、二日目の朝、伸びをした際に軽い寝違えのようなものになった(笑)そんな、夏の旅行だった。