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tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『陸軍登戸研究所』

2013-08-20 23:54:46 | 映画-ら行
 180分という、長い映画だった。

 2006年からの、6年間の撮影期間の間にも亡くなられた方は何人かいて、当時の関係者のインタヴューは貴重だ。
 当然取材と撮影を拒否した方もあったそうだけど、作品の中で質問に答える人たちは皆、生き生きと当時のことを語っていた。一人一人の人にとっては、人生の、若き日々の記憶なのだ。自分に照らしてみれば、そう思う。私の場合はちまちましたくそったれな記憶も多いけれど、その中にも愛着はある。ところがこちらは、国家規模の秘密に関する事柄なのだから。

 戦争に拘らずとも、祖父母に若い日の思い出をもっと話してもらえば良かったと思う。
 あまりそういうことには思い至らなかったけれど、一度何かで母方の祖母に戦争当時のことを尋ねた時は、祖母は憶えていることを話してくれ、「そういう時代だったから」と笑ってつけたしていた。でもあまり喋らなかった。
 特定の時代の話よりも、もっと個人的な感情の方を憶えているみたいだった。でもそれは、若き日のものではなくて、もっと最近のものだ。若き日の感情なんて、忘れているか、人に話すように整理されてはなかったんだろう。でももっと自分が良いインタヴュワーだったらな。て、映画と全く関係ないけれど。


 陸軍の秘密兵器の開発をしていた、「消された研究所」に関するドキュメンタリー。

 楠山忠之監督、2012年、日本。