tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『三姉妹 雲南の子』

2013-08-09 21:29:49 | 映画-さ行
 もしかしたらこれは、寓話だろうか。
 あんまりにも映像が美しいから、そんなことを思った。

 標高3,200メートルの空気は少し硬質なようで、なんだかざらざらしている。青い空。どこまでも続く山。薄い雪。薄暗い屋内。光と影。どのシーンも絵画を観ているようだった。

 そして貧困がある。
 監督はたまたま雲南へ出掛けていて、偶然この三姉妹に出会ったそう。そして姉妹の関係、内面に興味を持った。同国人の監督自身が、こう仰っている。「まさに“赤貧洗うが如し”という、生きていくということがただひたすら困難であるという状況を初めて目にしました」。

 これは寓話ではないので、この三姉妹のその後もまた映画に撮ってほしい。
 ただ、この三姉妹はどれだけのことを知っているのだろうか。この次は、この次があるとすれば、カメラに背を向けるかもしれないし、それは誰にも分からないけど。
 うずうずする映画だった。驚きやら憐れみ(!)やら不安やら喜びやら、色々な感情がわいてきた。そぐわないかもしれないけど、羨ましいとも思った。

 中国西南の雲南地方。最貧困と言われるこの地方の、標高3,200メートルの山間の村に暮らす、三姉妹を追ったドキュメンタリー。第69回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門最優秀賞、などなど。

 ワン・ビン監督、2012年、フランス・香港。