国際教育到達度評価学会(IEA、本部アムステルダム)が、1964年以来4年ごとに、世界的な規模で小学生や中学生の数学と理科教育の到達度を調べるための試験を行なっている。日本からは国立教育研究所が代表してこの試験に参加している。
この調査を実際に行なっているのは、米国ボストンカレッジ校内にある「TIMSS and PIRLS 国際研究センター」で、そこが2003年に行なった最新の調査結果を発表している。
さまざまな調査結果が表(テーブル)の形で掲載されており、判読はなかなか難しいが、ここでは日本の中学2年生に当たる14歳の生徒の数学の到達度を調査した結果について、単純に得点を比較して見ることにする。
トップグループは、経済発展著しい東アジア勢が占めて、シンガポール(605点)を先頭に、2.韓国(589)、3.香港(586)、4.台湾(585)、5.日本(570)の順となっている。
それらに続いて、6.ベルギー(537)、7.オランダ(536)、8.エストニア(531)、9.ハンガリー(529)等のヨーロッパ勢の順になり、10位には再びアジアのマレーシア(508)が来る。
ちなみに、参加46か国の平均点は467点である。
日本は、数学についても理科についても、回を追うごとに低落傾向にあるよしで、今回の結果を受けて、本年から巻き返しに向けて、文部科学省が中心になり、子どもたちが科学技術に興味を持つ機会をつくるための施策を行なうという。
ところで、中東イスラム諸国の結果を見ると、次の通りである。
参加46か国中 得点(46か国平均467点)
レバノン 31位 433点
ヨルダン 32 424
イラン 33 411
チュニジア 35 410
エジプト 36 406
バハレン 37 401
パレスチナ 38 390
モロッコ 40 387
サウジアラビア 43 332
おしなべてはかばかしい結果とは言えず、理科についても同じような状況である。これが発展途上国であるためにこうなのか、逆にこの結果のゆえに発展途上国にとどまっているのか、どのように考えればよいか悩ましい。
これらの国々からの反響はまだ出揃わないが、ヨルダン・タイムズが「ヨルダン学生がアラブ9か国の中で科学でトップ」との見出しで報じ、人的資源開発のための国民センターと教育省との間で委員会を設け、国の水準を引き上げるための手段を検討することになろうとしている。