わたしが思うわたしらしく生きよう

旧題名は、Tinian MagicⅢ改め 「何だって何とかしようと思えば何とかなるもんだぁ~」です。

2つの台風の間に起こった迷い犬に関するわたしの失態

2016年09月02日 | airstream生活
台風9号が千葉を直撃した8月22日。
あちこちで倒木があり通行止めや、電線が切れて停電の被害がありました。
うちでも、22日の午後1時過ぎから停電があり、復旧したのは23日の夜9時半過ぎでした。
そんな暴風雨にみまわれた22日の夕方。
暴風雨が続いているけど仕事を暗くなる前に終わらせたかったので、
しかたなく仕事先に出発したわたし。
仕事先にもうすぐ着く手前のところで、小走りに走る茶色いものを発見。

犬だ!

まだ巻くような風と雨が続いている中、大通りに向かって走っていた。
このまま進んだらきっと轢かれてしまう。停電で信号も機能していない。
(現にこの2日間後、猫が轢かれていた)
一度通り過ぎたけど、ジャーキーで釣ることを思いつき、カブを停めて歩いて接触。
はじめはビックリして方向転換したけど、ジャーキーに釣られて寄ってきた。

迷い犬には2種類あって、近づくと全力で逃げるタイプと、うろうろしながら様子を見るタイプ。
後者だった。

ここで、わたしは自分の仕事を優先してしまった。
今思えば、仕事なんて、放棄してしまえば良かった。

雨の中で、とりあえずこの犬を留めなければ、と思い、この道の先の駐在所のおまわりさんに依頼した。
このおまわりさん、仕事が出来ないのを噂で聞いていたので、保護してもらうのを確認するために、
また迷い犬のところに戻った。
かなり時間がかかって、ようやくやってきた。バイクで。
え?どうするの? 
「どうしたらいいですかね?」
「ひも持ってきました?」
「いえ」
「じゃあわたしがジャーキーで釣って誘導しますから、その間にひも用意しておいてください」

カブを道端に置いて、気を引く。よっぽどジャーキーが気に入ったのか、ついてくる。
その間にも、横を通る車に轢かれそうになるのをかばいながら、なんとか駐在所に。
まだひもは用意できてなく、雨の中、ジャーキーを与えて留まらせる。
ようやく持ってきて、とりあえず車に轢かれることはないし、
夕方のご飯で犬がいないことに気付いた飼い主がすぐに届けるだろうと安心して仕事へ向かった。
おまわりさんは「檻を手配しますので」と言っていた。


その日の配達は悲惨だった。
雨の続く中、倒木で通行止めなところが何箇所かあり、そのたびに配達の順番を変え、
雨で読み込まない端末にも四苦八苦しながら進み、
すっかり暗くなってからは、ただでさえ田舎で暗いのに、街全体が停電で暗く、ようやく見える2、3メートル先を
確認しながら、ときには陥落している道や垂れ下がっている電線にびびりながらも、なんとか終わったのが8時半頃。

1度目の配達から帰ったときには、もう迷い犬はいなかったので、飼い主さんが迎えにきたんだと信じきっていた。




次の日。
仕事がお休みだったけど、気になるので駐在所へ。
「警察署のほうへ移送しました」
「は?」
この時点で、自分がやってしまったことの重大さに愕然とする。
「何日くらいで保健所へ移送なんですか?」
「5日くらいじゃないですかね?そのあとは・・・残念ですけどねぇ」そそくさと奥に引っ込んだ。
このおまわりさんに頼んだ自分に腹が立った。

保護をお願いしたいなら、おまわりさんはダメなんだ。
市民の味方なんじゃない。命を扱うんじゃなくて、落し物の手続きを踏んだだけなんだ。


警察署に電話をした。
何故か担当してるのは、会計課だった。
「飼い主さんを探したいんで、そちらに伺って写真を撮りたいんですが」
わたしの希望に、落し物なので写真は撮らせない。の一点張り。
今思い出しても腹が立つ。
なぜ、命をつなぐ努力をだれもしないのか!

そのうえ、「今日、動物愛護センターが引き取りにきます」ときた。

なにが5日間?なにそれ?
犬なんて、帰巣本能があるんだから、保護した場所からリードで歩かせれば自分から帰るかもしれないのに。
前回の迷い犬2頭の飼い主探しは、そうやって飼い主にたどり着いた。
なんで、努力をしないで、死に近づけようとするんだろう?


だいたい、市の環境保全課で犬の登録をするときに、写真も登録制にして、
迷い犬が出たら、飼い主にたどりつけるデータベースをなぜ作らないのか!

ほんとうに、自分にも周りにも腹が立った。

動物愛護センターに電話をした。
「すぐに処分という訳ではありません。テストをして適正があれば譲渡用の犬として残す可能性もあります」
この話は聞いたことがあった。
おいでと呼んで来ないタラは、まず無理だろう、と思ったのを覚えている。
「高齢だと難しいですが」
電話で説明してくれた職員さんは、ほんとうに感じが良く、担当の方も、たんたんとしながらも、
飼い主探しのためのチラシに迷い犬の写真を使用することを許可してくださり、
SNSに写真を載せないこと、チラシは29日に撤去すること、30日にテストをするのでその日に電話をすることを約束して電話を切った。

今思い出しても胃が痛くなる。
わたしの安易な保護のせいで、あの子はいまコンクリートの上にいる。
罪の意識と、飼い主さんがなぜ届け出ないのか。
にゃーちゃんの夜鳴きも相まって、熟睡できない日々が始まったのだった。

最悪、わたしが引き取って飼い主さんを探し、見つからなかったら新しい飼い主さんを募集しよう。

それからは、チラシを作り、数少ないお店に張ってもらった。
郵便局、コンビニ、スーパー、薬局、ホームセンター、うちの会社。
登場人物、すべていい人だった。
今回、ほんとうに皆さんいい方たちばかりで、それが唯一の救いだったかもしれない。

聞き込みもした。その最中に動けなくなったご老人を発見し保護に携わったり、もう心が折れそうなことが続いたりした。

毎日、不安で押しつぶされそうだった。
もし見つからなかったら?
近所の人が、使ってない鎖を持ってきてくれたりして、いよいよ現実的になってきた。

なんの情報もない29日。
お礼を言いながら、チラシの撤去でお店を終業時間に合わせて回った。
台風10号の影響で、風が気持ち悪かった。
台風が怖くて逃げ出した犬が、はたして台風のときに、平常心でテストを受けられるだろうか?
あの子は大丈夫だろうか・・・
愛護センターの迷い犬情報が増えていて、この行く先がわからない命たちを思うと、
何をしていても涙が出てきて、もう鬱になりそうだった。
保護・譲渡をしている個人ボランティアのGOさんをはじめ保護団体の方たちは、この感情と毎日向き合っているのかと思うと、
初めてはっとする思いと共に、足元が深い沼に吸い込まれていくようで、不安でたまらなかった。

30日。旦那ちゃんと相談して、お昼前に電話を入れた。
担当者が出張で、テストも夕方にならないと結果も分からないので、夕方5時に電話をかけ直してと言われる。

なにも手につかない午後2時11分。
愛護センターのあの感じのいい職員の人から電話が来た!

「問い合わせがあって、確認に来てもらったところ、飼い犬だということで飼い主さんが引き取りにきました!」

きゃ~~~~~~~~~~良かった~~~~~~~~~~~~~~~~!!!  もう号泣。

お礼を言って電話を切って、それから協力してくださった方々に報告に車で回る。
みんな、超喜んでくれた!
最後のスーパーに着いたときに、電話番号を教えていた飼い主さんからお礼の電話が。

そこで、迷い犬が14、5歳ということで、老犬用ジャーキーをプレゼント用に買い、教えてくれた家に向かった。

大きな大きな農家さんだった。
飼い主さんは、老犬で病気もあるので、諦めていて、1週間、なんと死体を捜していたそうだ。
「かわいそうだからねぇ」
いやいや、可哀想なら、まず届け出ようよ!
やはり台風で、大きなトタン屋根の倉庫みたいなのが倒れたらしい。
で、そこを寝床にしていた飼い犬が逃げたとのこと。
長いリールでかなり長い距離を歩けるようになっていたから、高齢でも、暴風雨の中軽快に走れる体力があったのかもしれない。
定位置にいたその子は、わたしが見たときと見違えるくらい毛のふさふさな安心した顔をして、千切れるほど尻尾を振ってくれた。
たまたま剥がしたチラシを持っていて、見せたら、
「こんなことをしてくれる人がいるなんて世の中まだまだ捨てたもんじゃないなぁ~」と。

待て。犬を飼っていて、いなくなって探している人がいるのに、
お店にも行かないのでチラシを目にすることもなく、インターネットで発信されている情報を知らない人がたくさんいる。
その影で、死ななくてもいい命が失われている。
だれも幸せじゃない。
これは、犬の飼い方や、いなくなったときの探し方を、学校で小さい頃から教えないとダメなんじゃない?
今回の飼い主さんも、ちゃんと届出をして狂犬病の注射もしていた。
ちょっとしたデータベースの確立と、教育で、もっとなんとかなるんじゃないか?
と、改めて考えさせられたのだった。


なにより、迷い犬がいたら、おまわりさんを頼りにするのはぜったい避けよう。

分かっていたはずの自分の失態に、胃の痛い思いをした2つの台風に挟まれた1週間でした。




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