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資本論 第1章 商品 第3節 価値の形態ないしは交換価値

2023年06月11日 | 資本論 筆者訳
 第三節の構成は以下のようになっている。これを見ただけで読む気が失せそうになる。一歩ずつ行くしかない。

 なぜこんなことになっているのか?それはこの節がマルクスの「貨幣論」だからだ。貨幣とは何か?という問いを商品とその交換から導き出している。貨幣とは何か?という問いは、今に至るまで、多くの経済学者に挫折を経験させた。ケインズが一般理論を書き上げる前の論文は「貨幣論」である。マルクスは怯むことなく立ち向かい成果を上げている。

 むろん、ドイツ観念論の徒であるマルクスの方法よりも、イギリス流の経験哲学の徒であるケインズの方法が分かりやすいのは言うまでもない。言うまでもないが、筆者は資本論なしにケインズ一般理論は書けなかったのではないかと考えている。それはさておき・・・

 今回は第三節冒頭、A. 初歩(原初的)的・偶発的価値形態 の前、すなわち第三節の序論のようなものだ。

第3節 価値の形態ないしは交換価値
    >*この間の部分です
A. 初歩(原初的)的・偶発的価値形態
1.価値の表現の両極 相対的形態と等価形態
2.価値の相対的形態
(a.) この形態の性質と意味
(b.) 相対的価値の量的決定
3.価値の等価形態
4.原初的価値形態総論
B.総体的あるいは拡張された価値形態
1.   拡張された相対的価値形態
2.   特定の等価形態
3.   拡張された相対的価値形態の欠陥
C.一般的価値形態
1.   手直しされた価値形態の性格
2.   相対的価値形態と等価形態の相互依存的発展
3.   価値の一般的形態から貨幣形態への変換
D.貨幣形態

ここから本文が始まる・・・

第3節 価値の形態ないしは交換価値
 商品が、鉄やリネンや穀物等々の品々や製品という使用価値の姿態を取る世界にある。このとき商品は簡明な親しみやすい有形の形態を取っている。しかし鉄や理念や穀物等々の品々や製品は、使用価値と同時に価値の保蔵という二つの側面を持っているから商品たりうる。商品は物質的な本来の形態と価値という形態の二つの形態を持っている限りにおいてのみ商品たりえ、商品の形態を取ることができるのである。

 商品の価値の真実は、この点で「それはどこで手に入るの」というクイックリー夫人の欲しいものがどこで手に入るのかわれわれには分からないが、それとは違っている。(クイックリー夫人:シェークスピアの複数の戯曲に登場する「怪しい」女将)

 商品の価値は、その実体の粗末な実在性とは真逆のものであり、その構成に物質は1原子たりと入り込んでいない。ある一つの商品をひっくり返して調べてみても、それが価値の対象物である限りは、1原子たりとも発見することはできない。しかし、もし商品の価値が純粋に社会的な実在であることに思い至れば、商品の価値が一つの等質な社会的実体、言い換えれば人間労働の表現や体現したものである限りにおいて商品足りうることに思い至れば、当然のこととして価値は商品と商品の社会的関係の中でのみ自らを実現できることになろう。事実われわれは価値の背後に隠れているものを知るために交換価値や商品の交換関係から出発した。今やわれわれは最初に価値がわれわれの前に表れたこの形態に立ち戻らねばならない。

 誰もが知っているように、もし何も知らなかったとしても、使用価値が様々な有形の形態を取るのとは好対照に全ての人に対して商品はある一つの価値の形態を取る。これは貨幣の形態のことを意味している。しかしここでわれわれの前に課題が浮かび上がる。これはブルジョア経済学が決してやろうとしなかった作業である。それはこの貨幣形態の起源 商品間の価値の関係が含まれた価値の表現の発達の起源、もっとも単純な形態、ほとんど目に見えないような微かなものから、幻惑させるような貨幣形態までを跡付ける仕事である。これをやることによって、同時に、貨幣に表れた謎が解けるのである。

 もっとも単純な価値の関係は明らかに一つの商品と他の種類の商品との関係である。そこで二つの商品間の価値の関係が一つの商品の価値のもっとも単純な表現を与えてくれる。

X単位の商品A=Y単位の商品B または
X単位の商品AはY単位の商品Bと等価である。

20ヤードのリネン=1着の上着 または
20ヤードのリネンは1着の上着と等価である。


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