意思による楽観のための読書日記

白いメリーさん 中島らも **

らもワールドなんだろうなあ。

ある商店街で、人殺しができる日の出来事を綴った「日の出通り商店街 いきいきデー」。中華料理店主は階から天ぷら油を撒いている。老医師は手術用のメスを手裏剣のように投げてくるし、注射針の先から塩酸を飛ばしてくるので、中華鍋で受ける。返す中華鍋で老先生の頸動脈をぶった切る、などという話。

女の子が良い年頃になると蛇に変身してしまう家系の姉妹は父との3人ぐらし。母は若い頃に家を出ていったという。その姉妹の姉の様子がおかしい、部屋から出て来なくなったのだ。妹が探りを入れると体の一部が鱗になっている。それを知った父は慌てて姉妹に告白、「実は君たちの母も蛇になってしまったので家を出ていって山に入ったのだ」と。しかし姉は秩父の山には逃げ込まなかった。狙ったのは「ヘビメタ」、体中に広がってきた鱗を武器にヘビメタグループを結成して売りに出たのだ。全身が鱗で覆われた姉のバンドは人気が出た。見ている人たちは鱗の着ぐるみでも着ていると思っているらしい。「蛇姫さま&マングース」、ギターのピックがなくなっても鱗をはがせばピックになる。酒飲み話の延長のようなストーリーが「クロウリング・キング・スネイク」、実際そうなのだろう。

夜中にジョギングしていると、夜中に店を開けている荒物屋がある。変だと思っていると、そこの主人はシンナー中毒で少年好き、シンナーでラリってホームレスをやっつけていい気になっている少年たちを自分の家にあげて、売り物のシンナーやトルエンを与えて自分の餌食にしている。そんな奴を許せない「夜走る人」、荒物屋の家を爆破させてしまう。しかしその夜走る人も幻影であった、という話。

生まれながらにして五感が麻痺した少年、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚のすべてが生まれながらにしてない。その両親が植物状態の少年を生かしておいても本当にいいのかを悩んで、人の心を読めるという人物にアプローチ、少年の心のなかを覗いてもらうことにした。少年の心を覗いた人物は言う。少年は不幸でも幸福でもない、少年の世界では彼は神である。神に不幸も幸福もない、良い世界ですよ、というのを聞いた両親、微笑む神、という言葉に安心する。

人の良いコンパニオンガールの杉ちゃんの紐になった男、ほとんど理想的な状況なのだが、杉ちゃんは月に一度くらいのペースで発作的に乱れて、手当たり次第にモノを投げ暴れる。嵐のような発作が終わると、また元の可愛い女性に戻るというのだ。男は杉ちゃんの大切な貯金も使い込んでしまう。杉ちゃんが暴れるときにはなぜか襖に手形のシミが浮き上がる。貯金を使い込んだ時にもそのシミが浮かび上がった。はたして杉ちゃんは許してくれるのであろうか。今回のシミは天井いっぱいに広がっているのだ。

らもさん好きであれば、このらもワールドは気持いいのだと思う。人による。

読書日記 ブログランキングへ

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「読書」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事