私のホテルからウィリアムズバーグへ入る時、いつも渋い面構えの木と挨拶をかわした。もとは二股の木だったのが、片方はなくなっていて、その分もう一方の木が力こぶしを見せてくれる。
彼は、ヨーロッパから人々が移ってきてここを切り開く前からここにいるのだろう。
そして彼は、ここはアメリカ建国の歴史だけじゃないのだよと言っているようだ。
ご挨拶した木
ウィリアムズバーグの個人の家の庭、そして公共施設にも花が植え付けられていて、一応華やかではある。しかしそれらは、ヒャクニチソウ、ベゴニア、アンゲロニア、カンナなどでほとんど日本と同じである。ヨーロッパでも似たような花壇を見た。
ウィリアムズバーグの花壇で見かけた花
いわばそれぞれの街で同じ外見、同じロゴのチェーン店が並ぶ景色になってしまったように、地球規模で同じ花が並ぶ花壇が生まれようとしているのでは?
<これがインターナショナル>
花壇では
同じセブンを
見るように
世界が同じ
花になるかも
ちょっと変わっていたのが、次の2つの花。前者は非常にポピュラーに植え付けられていた。
多く咲いていた、名前の知らない花
後者は花壇から外れたところ。 割と地味目の花が多い中で、黄色は目立っていた。
<黄色のプリンセス>
きれいだね
雑草じゃないよね
近づけば
怪しいやつと
棘の葉ゆれる
きれいだね
雑草じゃないよね
近づけば
怪しいやつと
棘の葉ゆれる
この花がなんであるかは知らないが、こういった歴史の街だから、その時代のこの地域の花を飾るといった拘りがあってもいい。
それよりも花に飛んでくる虫たち、なかなか派手目の見かけない色だった。日本にあるケイトウの花の上だったけれども、外国にいることを感じさせた。
<見慣れない虫>
虫違い
見慣れた花も
縁薄く
地球の裏に
想いを馳せる
蝶と花
虫違い
見慣れた花も
縁薄く
地球の裏に
想いを馳せる
蝶と花
おやっと思ったのが、ヒガンバナと百日紅。これは中国原産。ヒガンバナは個人宅の1軒で咲き乱れていた。私のアメリカ旅行では初めて見た。アメリカではペリー来航時にこの花の球根3つを持ち帰ってから広まったのだそうだ。頑張れよって言ってきた。
<ペリー以来の戦い続く>
ヒガンバナの
アメリカ攻略
継続中
いつかその地を
真っ赤に染めるかも
ヒガンバナの
アメリカ攻略
継続中
いつかその地を
真っ赤に染めるかも
サルスベリ、これは公共の建物に咲いていた。この花だって、ペリー来航以降にアメリカは移入のはず。独立前の地域に咲いているはずはない。 でもこの花は、アメリカで盛んに品種改良がおこなわれた。その結果、うどん粉病にかからない丈夫で色鮮やかな種が開発され、日本を含むアジアへ里帰りし、しばらく前から日本でも米国産、その国内改良の種ばかりが植えられているとのこと。
公共施設の垣のサルスベリ
このように、花壇や小さな木はかなりインターナショナルになっている。
でも樹々は・・・・・・
この街は、森とともにあるということを感じる。街の所々に大木の木立があり、またちょっとした林がある。きっと開拓前はネイティブアメリカンが時々入り込む森で、そこをヨーロッパから来た人が強引に切り開いたのではないだろうか。
木の実の写真を撮っていたので並べてみた。
細長い実が雨のように垂れ下がるアメリカキササゲ、馬車道にこの木がうっそうとして並んでいた。実が針のようでまとめて落ちてくると怖そう。
<アメリカキササゲの雨>
見上げれば
鋭い針が
蠢いて
森にあだなす
敵見定める
見上げれば
鋭い針が
蠢いて
森にあだなす
敵見定める
タイサンボクの拳のような若い実、
忍者が使いそうなモミジバフウの実、
これらは、みんな北米原産の木である。
こういった古くからの森の名残の樹々が、開拓民の乱暴な蹂躙もちゃんと少しは残して管理してくれているのだからと許容し、その行く末を見守っている場所がここなのではと、ふと思った。
きっとこの場所は、アメリカの国の歴史を始めたという人の世界の場所だけでなく、移民がそれまでの自然との対話を開始したという意味の場所なのだろう。そして街を復興し守るという名目のもとに、この過去の自然を守ろうとしているのではないか。
ウィ入りアムズバーグを出る日、ホテルから30分かけて小さなスーツケースを引っ張り駅まで歩いて行った。その道はずっと林の中だったがヨウシュヤマゴボウ、別名アメリカヤマゴボウが樹々の根本を覆っていた。これも北米原産。かつての森はこんな感じで森の大地を守っていたのかもしれないと思った。
<ヨウシュヤマゴボウの誇り>
紫の
輝き森を
守り抜く
日本でもその
片鱗見せたい
紫の
輝き森を
守り抜く
日本でもその
片鱗見せたい