goo blog サービス終了のお知らせ 

書斎の周辺

本を読んだり、書いたり、夢中になったり、飽きてしまったりの日々

吉行淳之介

2018年12月11日 | 読書



 吉行淳之介の「わが文学生活」をようやく読了した。
 対談集で、雑談の寄せ集めのようなものだから、細切れに読んでも話はわかる。
 そんなわけで、旅行に行くとき、街に出るとき、カバンの中に入れて、暇つぶしに開いていたが、300ページ足らずの文庫本で、読み終えるのに一ヶ月くらいかかった。

 吉行淳之介は好きな作家のひとりだ。
 作品というより彼の生き様が好きなのかも知れない。
 入った店が暴力バーとわかっても平然と飲んだり、美人局の女にも好感を持たれて無事帰れたりする。ちんぴらから刑務所の中で書いた日記を買ってくれと電話をうけると、断らずに会ってみる。病院の大部屋に入院すると、同じ病室にいる人と気軽に話して、知り合いのようになってしまう。

 まだバブル崩壊には間のある頃で、出版界も元気な時代だった。
 気取らず、よく遊び、よく書いた。
 そんな彼の生き様が羨ましい。

佐藤愛子「晩鐘」

2018年10月07日 | 読書



 昨日、佐藤愛子の「晩鐘」を読了した。
 年明けに買ったものだから、半年以上棚で眠っていたことになる。

 最近、本を読む量がめっきり減ってきた。
 時間はたっぷりあるのだが、ぜひ読みたいというものがないせいか、パソコンを開いていることの方が圧倒的に多い。

 昔からそうだったかも知れない。
 勤めていたときも、机に座ると本を読むよりパソコンを開くことの方が多かった。かろうじて、通勤電車の中で時間つぶしに読もうと、いつもカバンの中に本を入れていた。読み始めて引き込まれることもあれば、途中で投げ出すこともあった。
 ぼくに本を読むきっかけを作っていたのは、退屈な通勤時間帯だったのだ。

 「晩鐘」はパソコンを開くことを忘れさせるほど魅力的ではなかった。
 読み始めたのは、街に出るときの電車の中でだった。
 途中まで読むと、つぎはどうなるかと少し興味が出てきた。
 しかし、机に座ったとき、真っ先に手にするというほどではなかった。

 少し間を置いて、また電車の中で続きを読もうとすると、それまでのストーリーがうろ覚えで、すんなりと入っていけない。
 その要因のひとつは、話の骨格が二つあって、それらが交互に進んでいくところにあるような気がする。
 まずは「梅津玄へ藤田杉の手紙」という形で、主人公藤田杉がいまはなき師匠へ現況報告するところから始まる。しばらくするとそれが過去の回想録に変わる。それらが交互に進展していくのだ。

 テーマは、佐藤愛子がかっての夫田畑麦彦に翻弄される人生を書き連ねたものだ。
 作家を志しながら、いつになっても目が開かず、プライドだけは高い田畑麦彦。
 やがて佐藤愛子が有名作家になり、田畑麦彦は彼女から金をむさぼっていく。

 そんな話で、これまでも同様のテーマで何作か書いているらしい。
 
 昨日はレンタルサーバーの切替作業をしていて、あまりに動きが鈍いので、それをしながら暇つぶしに残りを読み終えたのだった。

 小説とはいいながら、大半が実話らしい。
 ここまで書くかなあというのが感想だ。

ハッピー・リタイアメント

2018年09月11日 | 読書


 久しぶりに一冊読了した。
 浅田次郎の「ハッピー・リタイアメント」。
 天下りがテーマというので買ってみたのだが、数年間棚で眠っていた。

 話は面白いが、これでもかというほどの風刺を込めた駄文の連続で、ストーリーというほどのものはない。要約したら原稿用紙一枚くらいに収まりそうな軽い内容だ。

 途中でうんざりしてきて、飛ばしながら読んだが、それでもなんとかわかった。
 浅田次郎の作品は「プリズンホテル」しか読んだことがなかったが、もうこれ以上読まなくてもいいかなという感じだ。

サンジョルディの日

2018年06月29日 | 読書

 日経の「私の履歴書」は、毎日読んでいる。
 今月は阿刀田高氏だ。
 その中にサンジョルディの日という言葉が出てきた。
 スペインが発祥の地で、女性が男性に本を贈るという風習のようだが、知らなかった。

 氏が山梨県立図書館の館長に就任したとき、この制度を普及させたいと提案したことがあって、それが形を変えて「やまなし読書活動促進事業」という形になったというが、その時期山梨に住んでいた本好きのぼくなのに、それも知らなかった。

 サンジョルディの日。そのままずばりの方がずっと説得力があったのに。
 図書館が主導することではないかも知れないが、どうして全国の書店などが旗揚げしようとしないのだろう。もうしているけど、ぼくが知らないだけかな。

 昔、大勢の女性の部下を抱えていた頃は、バレンタインのときは大量のチョコレートを貰いながら、ほとんど食べずにみんな子供にやっていたが、これが本だったらもっと嬉しかったような気がする。

 とはいえ、いまそんな制度が普及してきても、ぼくに本をくれる女性なんていそうにないな。

芥川賞・直木賞の候補

2018年06月18日 | 読書

芥川賞、直木賞の候補が出そろったが、ほとんど知らない名前だ。
最近若手作家の名前はほとんど知らない。
知ってるのは松尾スズキと、湊かなえ、島本理生。それも名前だけ。
小説に関心ないわけではないんだけど、あまり食指が動かないのだ。
芥川賞の受賞作は、雑誌文藝春秋で読むようにしているが、がっかりすることが多い。
そんなことを繰り返してきたからだろうか。

芥川賞候補

古谷田奈月「風下の朱」   (早稲田文学初夏号)
高橋弘希 「送り火」    (文学界5月号)
北条裕子 「美しい顔」   (群像6月号)
町屋良平 「しき」     (文芸夏号)
松尾スズキ「もう『はい』としか言えない」(文学界3月号)

直木賞候補

上田早夕里「破滅の王」   (双葉社)
木下昌輝 「宇喜多の楽土」 (文芸春秋)
窪美澄  「じっと手を見る」(幻冬舎)
島本理生 「ファーストラヴ」(文芸春秋)
本城雅人 「傍流の記者」  (新潮社)
湊かなえ 「未来」     (双葉社)