
吉行淳之介の「わが文学生活」をようやく読了した。
対談集で、雑談の寄せ集めのようなものだから、細切れに読んでも話はわかる。
そんなわけで、旅行に行くとき、街に出るとき、カバンの中に入れて、暇つぶしに開いていたが、300ページ足らずの文庫本で、読み終えるのに一ヶ月くらいかかった。
吉行淳之介は好きな作家のひとりだ。
作品というより彼の生き様が好きなのかも知れない。
入った店が暴力バーとわかっても平然と飲んだり、美人局の女にも好感を持たれて無事帰れたりする。ちんぴらから刑務所の中で書いた日記を買ってくれと電話をうけると、断らずに会ってみる。病院の大部屋に入院すると、同じ病室にいる人と気軽に話して、知り合いのようになってしまう。
まだバブル崩壊には間のある頃で、出版界も元気な時代だった。
気取らず、よく遊び、よく書いた。
そんな彼の生き様が羨ましい。