盗作といえば、もっとショッキングなことがあったのを思い出した。
立松和平だ。
連合赤軍事件をテーマにした「光の雨」だ。
1993年「すばる」で連載をはじめると、しばらくして、元連合赤軍メンバー坂口弘から自著「あさま山荘1972」の盗作だと抗議を受け、本人もそれを認めたというものだ。
それまで立松和平の作品は出るたびに買っていたが、これを機にいっさい手に取ることをやめた。
あろうことか、そのほとぼりが冷めた15年後、また同様のことが起こったようだ。
日光・中禅寺湖をテーマとした「二荒」という作品で、盗作元は自費出版された非売品の小冊子とのこと。
がっかりしたが、この2作とも、事件発覚後書き直して再出版しているというが、出版社の神経を疑わざるを得ない。
もうひとつ思い出したのは山崎豊子だ。
彼女の小説は「華麗なる一族」以外読んだことがないので、ぼくには縁遠い作家だが、「不毛地帯」や「大地の子」などで盗用疑惑が発覚している。
北条裕子の「美しい顔」が東日本大震災をテーマにしたのと同様、これらの作品の背景には史実があるので、裏付けとなる資料を参照するのは仕方ないことだろうが、そのまま流用するとはあまりにもお粗末だ。