5月19日の再開館まで博物館はしばらくの臨時休館でしたが、休館中にお客様をお待ちしていたのは、職員だけではありません。
博物館の常設展示で活躍する8体のマネキンも、ぞれぞれの持ち場でお客様をお待ちしておりました。(うち、炭鉱住宅の2人の近況は、6月3日のブログをご覧ください)
今回は、この【炭8(スミ・エイト)】(と、私が勝手に言っている)のうち、「救護隊の桑野さん」をご紹介します。
事故や災害が発生する有事に備え、大手の炭鉱では大正時代から救護隊を組織しており、戦後は鉱山保安法によって、炭鉱では救護隊の設置が義務付けられます。
迷路のような地下の坑道で、ガスや落盤、出水などに脅かされる危険な現場での人命救護は、困難を極めます。そのため、救護隊員は、平時は炭鉱の仕事に従事しながら、月1回程度の訓練を怠りませんでした。
ちなみに、国内で唯一坑内採炭が行なわれている釧路コールマイン㈱では、救護隊の訓練が今でも行われています。その訓練を見た消防隊員が「参加したくない」とつぶやいたほど、超ハードな救護訓練だったそうです。
炭鉱の人命救助は瞬時の判断がものをいうため、救護隊員は職員・鉱員の中から、頭の回転が早く体力に自信のある優秀な者を選抜して任命しました。「救護隊の桑野さん」もその一人。炭鉱は24時間稼働しているため、事故や災害の発生は昼夜を問いません。「救護隊員になってから、晩酌をやめた」というのは、救護隊経験者の言葉です。
救護隊の装備は、通常の作業装備(作業服、安全靴、ヘルメット、キャップランプ)に加え、有毒ガスから身を守る酸素呼吸器を背負い、マスクをしています。
我らが【炭8】、「救護隊の桑野さん」ですが、よく見ると、他人のヘルメットをかぶって出動しています。ヘルメットを間違えるほど、出動を急かされた緊急事態とは、一体何だったのでしょうか。親友の事故か、それとも・・・。
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