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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

マイ・ブロークン・マリコ

2023年01月10日 | ネタバレなし批評篇

ベストセラー原作コミックの映画化を誰かさんがタナダユキに持ち込んだ企画ものかと思いきや...原作を読んでいてもたってもいられなくなった女流映画監督は「私の手で映画化しなければ」とすぐに思い立ったらしい。この映画をご覧になってお分かりの通り、もろシスターフッド丸出しの原作を読んでそうお思いになったということは、このタナダユキ間違いなくフェミニストであろう。妊娠を伴わないSEXをテーマにした直近の映画も根底にはそれがあったということだ。

しかし、原作コミックとはちがって本作はさほど話題にもならず、あっという間にアマプラで無料配信と相成ってしまった。実の父親にレイプされた過去をもち、つきあう男ときたらすべて伊勢◯友介タイプのドメバイ野郎。目には黒々とした痣、身体中は傷だらけで満身創痍のマリコ(奈緒)は自他共に認めるメンヘラ女子だ。幼なじみのシイチャン(永野芽郁)にべったり依存していたマリコだが、一番の友達に何も告げずに飛び降り自殺してしまう....

今までは男性に従順ないい子ちゃん役が多かった永野芽郁が、本作ではとんでもクソ上司(男)がいるブラック会社の営業社員シイノに扮している。非喫煙者の芽郁ちゃんが、大股開きでタバコをスパスパ、部屋中カップラーメンの空き容器だらけの汚ギャルに果敢にもチャレンジしているのだ。しかし、この映画の見所といえは女優と役柄のギャップ感だけで、割りと原作に忠実であろうシナリオにあまり新味を感じなかったのである。

こういったフェミニズム映画が日本でいまいち盛り上がらない理由は、マンガのように読者の個人情報がキチンと守られるならばまだしも、映画館で見ているところを他人に見られてネットで炎上するのだけはゴメンだわ、と思っていらっしゃるシスターの方々がけっこう多いからではなかろうか。LGBTQ全盛の現代においても諸外国に比して日本はまだまだ、社会的マイノリティに対する風当たりが強いという証拠だろう。

すでに死んでいる友達のために何ができるのか。マリコが悩んだ末に出した答えはあまりにもありきたりで、映画のラストとしてはなんとも物足りないのである。本作品が好評を博することもなくあえなくアマプラ無料配信になってしまった一因もそこにあるのだろう。レ◯ビアンであることを公にして男に頼る生き方を一切やめるくらいの勇気が、シイチャンいなタナダユキ?には必要だったのではないだろうか。中途半端にいい人のマキオ(窪田正孝)なんてこの映画には必要なかったよね。

マイ・ブロークン・マリコ
監督 タナダユキ(2022年)
オススメ度[]


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