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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

麦子さんと

2021年04月12日 | ネタバレなし批評篇

堀北真希が唄う“赤いスイートーピー”は残念ながら本編の中で聞くことはできない。本人の希望か事務所のNGなのか理由はよくわからないが、映画の流れからいってもあそこでムギコないしサイコ(堀北真希一人二役)の生歌はどうしても欠かせなかった気がするのだ。

某TV番組でヘベレケになった鈴木砂羽が、堀北真希の魅力について(呂律もあやしく)ふれていた。撮影の待ち時間で他の若い女優がスマホにかじりついている中、堀北だけは文庫本を開いているというのである。そのギャップに山本耕司もやられちゃったのかもね、と。

『さんかく』の吉田監督が構想に7年をかけたというオリジナル作品は、幼い頃母親のサイコ(余貴美子)に捨てられたノリオ(松田龍平)とムギコ(堀北真希)の兄妹が住むアパートに、ひょっこりサイコが現れる場面から始まる。

こっそり仕送りまでしてくれたサイコを、ノリオは“ババァ”、ムギコは“あの人”とまったくの他人よばわり。自分になれなれしく接するサイコを突き飛ばし、大切な目覚し時計を床に投げつけ壊してしまうムギコだったが…

何を隠そうこの私も反抗期の頃は母親をババァ呼ばわり(サイコのように全く優しい人ではなかったのだが)した口で、ムギコがサイコに親不孝な態度をとるたびに心に何かがグサグサと突き刺さってきたのである。

実は映画中盤であっさりとサイコが亡くなってしまうのだが、ここからがこの映画の真骨頂。お骨を埋葬しにサイコの故郷を訪れたムギコは、サイコの過去を辿りながら母親の本心を知り、親不孝な態度をとり続けてきた自分を猛烈に反省するのである。

数年前に亡くなった母親の葬式の時にはなぜか不思議と涙が流れなかったのだが、ギャップ感たっぷりに堀北真希が演じた親不孝娘がラストで見せた涙についホロリとさせられてしまった私は、やはり親不孝な子供だったのだろう。母ちゃんいろいろとゴメンね。

麦子さんと

監督 吉田恵輔(2013年)

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