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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

星の旅人たち

2024年02月23日 | ネタバレなし批評篇


監督のエミリオ・エステヴェスと主役のマーティン・シーンは映画をご覧になっておわかりのとおり実の親子である。弟のチャーリー以上にこの二人風貌がびっくりするほど似ている。実の親子が映画の中でも親子を演じている珍しい映画なのである。

エステヴェスとシーンで名字が違うのはなぜだろうと不思議に思ってググってみたところ、エステヴェスが本名でシーンは芸名らしい。ちなみに親父のシーンにはアイルランドとスペインの血が流れているそうで、この映画、エステヴェスとシーンが自らのルーツをたどる映画にもなっているのだ。

ナバラ州から聖ヤコブの遺体が埋葬されているという伝説の教会サンティアーゴ・デ・コンポステーラまでの道のり約800km。人間の足で踏破すると数ヶ月を要する長旅になるらしい。ゆえにバカンスだけでは時間が足りずに数年に分けて巡礼の旅を続ける方も多いのだとか。

カトリック教徒ならば一度は歩いてみたい行程らしく、映画の中でも“巡礼あるある”の異国情緒タップリなトピック満載であり、おそらくスペイン旅行協会ともタイアップしているのだろう。巡礼色よりもバカンス色をより鮮明に打ち出した構成になっている。

道中、歓待を受けたジプシーから、ムシーアの海岸まであしを伸ばして息子の遺灰をまけば奇跡がおこると伝えられた父。道中の要所要所で遺灰を撒きすぎたせいかその効果も半減してしまったようだ。やはり最後の最後まで急死した息子の霊はとっておいた方が良かったのだ。

エステヴェス親子は映画を通じて故郷スペインの地を踏むことができたわけで、ひょんなことがきっかけて共に旅をすることになったアイルランド人作家は本を書く“脳”を、娘を手放した傷心のカナダ人女性には相手を思いやる“心”を、心優しき巨漢のオランダ人には自分の苦悩を打ち明ける“勇気”を与えた、この『オズの魔法使い』になぞらえた長旅の感動もひとしおになったことだろう。

星の旅人たち
監督 エミリオ・エステヴェス(2010年)
オススメ度[]

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