
ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの丁々発止のやりとりが見所だったオリジナルは、元々舞台用に書かれた密室劇を脚色した作品。リメイク版として取り組んだ本作品は、元シェイクスピア舞台俳優&監督だったケネス・ブラナーとしては無難な選択だったのかもしれない。オリジナルでローレンス・オリヴィエが演じていた人気作家を、オリジナルでは敵役であったマイケル・ケインが演じているというのも手堅いキャスティングといえるだろう。
(これを言うと必然ネタばれになってしまうのだが)登場人物が2人だけという設定もオリジナルのままで、妻を寝取られた推理小説作家と寝取った男の3Rタイトルマッチというストーリーもオリジナルと同じ展開。本作品のクライマックスがやや『殺しのドレス』風(?)にアレンジされてはいたが、原作からは大きく逸脱することのない非常に保守的な故ハロルド・ピンターらしい脚本だ。
オリヴィエとケインの会話中(いい感じのアクセントとなっていた)突如笑い出す自動人形の代わりに、全自動監視システムやこりにこったインテリアを持ってきた所がブラナーがこのリメイク版で見せた唯一のオリジナル演出といったところだろうか。スイッチ一つで監視カメラを切りかえたり、照明の色を変えたりできたとしても、オリジナルの自動人形ほどのインパクトを残念ながら出せていない。
あまりにもオリジナルに敬意を表しすぎるあまり斬新な演出に欠けた本作品を見ていると、何かっつうと映画の中にオマージュネタを探したがる昭和な映画批評ブロガーたちを思い出してしまうのだ。せめて、○○される方をチェンジして見せるぐらいの“遊び”が欲しかった1本である。
スルース
監督 ケネス・ブラナー(2007年)
〔オススメ度

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(これを言うと必然ネタばれになってしまうのだが)登場人物が2人だけという設定もオリジナルのままで、妻を寝取られた推理小説作家と寝取った男の3Rタイトルマッチというストーリーもオリジナルと同じ展開。本作品のクライマックスがやや『殺しのドレス』風(?)にアレンジされてはいたが、原作からは大きく逸脱することのない非常に保守的な故ハロルド・ピンターらしい脚本だ。
オリヴィエとケインの会話中(いい感じのアクセントとなっていた)突如笑い出す自動人形の代わりに、全自動監視システムやこりにこったインテリアを持ってきた所がブラナーがこのリメイク版で見せた唯一のオリジナル演出といったところだろうか。スイッチ一つで監視カメラを切りかえたり、照明の色を変えたりできたとしても、オリジナルの自動人形ほどのインパクトを残念ながら出せていない。
あまりにもオリジナルに敬意を表しすぎるあまり斬新な演出に欠けた本作品を見ていると、何かっつうと映画の中にオマージュネタを探したがる昭和な映画批評ブロガーたちを思い出してしまうのだ。せめて、○○される方をチェンジして見せるぐらいの“遊び”が欲しかった1本である。
スルース
監督 ケネス・ブラナー(2007年)
〔オススメ度


