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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

裸足の1500マイル

2007年10月09日 | ネタバレなし批評篇
白豪主義のもと人種隔離政策により親元から連れ去られるアボリジニの子供たち。オーストラリアに入植してきた犯罪者によるスポーツハントの対象ともなり、オーストラリア先住民アボリジニの人口が激減したことから、白人の影響の少ない地域に居住させるというのが表向の理由だったらしい。

強引な手口で子供たちを強奪、逃走を企てた子供には凄腕の追跡者に追われたあげく独房入りという厳しい罰がくだる。白人との交配によって、アボリジニの肌色が薄まっていく系統図を解説する監督官は、ナチス人体実験の担当医と重なるほど冷酷に描写されている。

しかしこの映画は、アボリジニの子供を隔離しようとする白人たちを醜く描きすぎたために、逆に観客の感情移入を妨げてしまっている。あんなに可愛らしいデイジーとグレイジーをせっかくキャスティングしたのに、監督の恣意が勝ちすぎているためにかえってわざとらしさを感じてしまうのだ。

史実を正確に伝えなければならないドキュメンタリーの場合、やはり物語をドラマチックにしようとする脚色はなるべく避けるべきだ。連れ去られた姉妹が実家に戻る途中の自然をあまりにも美しく描きすぎたために、姉妹が遭遇したであろう<自然の過酷さ>がほとんど伝わってこなかったのも片手落ちといわざるをえない。

監督 フィリップ・ノイス(2002年公開)
〔オススメ度 


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