蒲公英の絮

四季折々の花や空の写真と、自己流俳句で日々を綴ります。

伯母の三回忌〜花ま白〜

2023-04-18 22:05:00 | 日記













       小手鞠の 揺れてみ空の 青ふかし
















       収穫のされぬ 大根の花 ま白

















       風止まぬ夕べ 躑躅の白 透ける















       二人静 長女の役目 終えし伯母






(ネット画像お借りしました。)





伯母が亡くなって、もう二年も経つとは。

人の悪口を言わない人だった。
他人の為、自己を犠牲にしてかまわない。

利他主義。
世界一優しい心の持ち主。

戦争で、新婚間もない夫を失い、両親をたった一人で介護し看取り、その後、妹(我が母親)とその子ども達(我々兄弟)の為、影に日向に世話をし、援助してくれた。
(その財産の多くは、我々に費やされたものと思う。我が為のものを買った、という記憶が私にはないから。)

そんな伯母だから、神様はこれ以上ないほど、健康な身体を与えたのだと思う。(最後まで脳も健康そのものだった。)
医者知らず。薬など滅多に飲まない。

だからなのか病弱な妹が、心底心配だったのだろう。
母が93歳で旅立った時、伯母は99歳。
お葬式の日の伯母は、小さく小さくうなだれ、言葉もなく…。
それなのに、お別れの会食の時、甥か姪か誰かが心配してかけた言葉に
「元気でーす!99歳!」とおどけて見せた。

一緒に暮らす弟は、目に見えて衰えて行く伯母を、それでも楽しげに、この上もなく、誰よりも幸福に、それから五年間お世話をすることになる。
最後の最期の道を、二人だけの「終末計画」に向けて歩んで行った。ケアマネジャーさん方とチームを組み細心の計画を立て…。

それは、コロナ禍最盛期の思わぬ困難も乗り越えて。

母の命日の、五年と10日後、伯母は、大好きな家の我がベッドの上で、息を引きとった。
隣で、終始付き添って眠る弟に、気づかれないように、そっと。
春の早朝のこと。

どなたが手向けてくれたのか、二人静。
伯母の、お別れ式に参列する為、この年二度目の帰省をした私が初めて目にしたその花は。

花は枯れてしまっていたけど、その風情は、伯母と母のようだ、と思った。
生涯、母を心配し寄り添った伯母。
長女の役目を終えた伯母を、子煩悩の優しい父親(おじいちゃん)は笑顔で迎えてくれた事だろう。





コメント (4)
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