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陶淵明『酒を止む(さけをやむ)』酒逢知己千杯少

2019-12-20 17:31:53 | 文学・芸術
『止酒』陶淵明

居止次城邑  居は城邑に次るを止め

逍遥自閑止  逍遥として自ら閑止す。

坐止高蔭下  坐は高蔭の下に止め

歩止篳門裏  歩は篳門の裏に止む。

好味止園葵  好味は園葵に止め

大歡止稚子  大歡は稚子に止む。



平生不止酒  平生 酒を止めず

止酒情無喜  酒を止むれば情 喜ぶ無し。

暮止不安寝  暮に止むれば寝を安んぜ不。

晨止不能起  晨に止むれば起くる能は不。

日日欲止之  日日 之を止めんと欲するも

営衛止不理  営衛 止むれば理まら不。

徒知止不楽  徒だ知る止むるの楽しから不るを

未信止利己  未だ信ぜず止むるの己の利するを。

始覺止爲善  始めて覺る止むるの善と爲すを

今朝眞止矣  今朝眞に止めたり。

此從一止去  此從一たび止め去りて

將止扶桑涘  將に扶桑の涘に止まらんとす。

淸顏宿止容  淸顏宿容を止む

奚止千蔓祀  奚ぞ止に千蔓祀のみならんや。


居は城邑(じょうゆう)に宿るを止(や)め
逍遥として自ずから閑止(のどか)なり
座(ざ)するは止(た)だ高蔭(こういん)の下(もと)のみ
歩むは止だヒツ門(ひつもん)の裏のみ
好(よ)き味は止だ園葵(えんき)のみ
大いなる歓びは止だ稚子(ちし)のみ
平生 酒を止めず
酒を止(や)めなば情(こころ)に喜び無し
暮れに止むれば安らかに寝(い)ねられず
晨(あした)に止むれば起(た)つ能(あた)わず
日々 之(これ)を止めんと欲するも
営衛(えいえい)止まりて理(おさ)まらず
徒(た)だ知る 止むことの楽しからざるを
未だ知らず 止むることの己(おのれ)に利あるを
始めて止むることの善たるを覚(さと)り
今朝(こんちょう) 真に止めたり
此より一たび止め去って
将(まさ)に扶桑のホトリに止まらんとす
奚(なん)ぞ止(た)だに千万祀(せんまんし)のみならんや

「都会に住むのを止めて、暢気に暮らす。
座るのは木陰だけ、歩くのは柴折戸(しおりど)の内だけ。
ご馳走は菜園で採れるものだけ、歓びは子供と戯れることだけ。
今まで酒を止めたことはないが、酒を止めて何が楽しいのか。
日暮れに止めたら寝付きが悪いし、朝に止めたら寝起きが悪い。
止めようかなとも思うが、そうすると血の巡りが悪くなる。
だから酒を止めたらつまらないと思うので、酒を止めて利があるかは知らない。
しかし、酒を止めるのは良いことだと思ったので、今朝から止めることにする。
これからは酒を止めて、東海に浮かぶ扶桑の島で暮らそうか。
さわやかな顔になって生まれ変わり、千万年でも生きてみるか」

http://www.sakebunka.co.jp/archive/culture/011_2.htm
から一部転載


陶淵明 飲酒 其の五

 結廬在人境
 而無車馬喧
 問君何能爾
 心遠地自偏
 採菊東籬下
 悠然見南山
 山気日夕佳
 飛鳥相與還
 此中有真意
 欲辨已忘言

 廬を結んで人境に在り
 而も車馬の喧しき無し
 君に問う何ぞ能く爾ると
 心遠く地自から偏なり
 菊を採る東籬の下
 悠然として南山を見る
 山気日夕に佳し
 飛鳥相與に還る
 此の中に真意有り
 辨ぜんと欲して已に言を忘る

人里に廬を構えているが、
役人どもの車馬の音に煩わされることはない。
「どうしてそんなことがありうるのだ」とお尋ねか。
なあに心が世俗から遠く離れているため、
ここも自然と僻地の地に変わってしまうのだ。
東側の垣根のもとに咲いている菊の花を手折りつつ、
ゆったりした気持ちで、ふと頭をもたげると、
南方はるかに廬山のゆったりした姿が目に入る。
山のたたずまいは夕方が特別すばらしく、
鳥たちが連れ立って山のねぐらに帰っていく。
この自然の中にこそ、人間のありうべき真の姿があるように思われる。
しかし、それを説明しようとしたとたん、言葉などもう忘れてしまった。

陶淵明全集 松枝茂夫・和田武司訳注
より一部転載

酒逢知己千杯少

家族や友人たちと平和な年末年始を過ごせることを感謝しながら、
世界の平和を祈りたい🕊

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