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私は自由気ままに生きている。

―東京暮らし・子無し中年主婦の気ままな日常―

猫鳴り

2016-03-26 22:51:59 | 読書、音楽、映画



今日、沼田まほかるの『猫鳴り』を読み終えた。
猫鳴りというのは、要するに猫のゴロゴロのことである。
ラストは年老いた飼い猫(モン)の死が描かれているので、猫好きなら号泣必至だろうし、
飼い猫の看取りを経験済みの人なら自分の猫のことを思い出しながら読むことになるだろう。
私の場合は、昔実家で飼っていたママの猫の最期を思い出したり、
おそらく近い将来訪れるだろううちの猫ちゃんの死について想像したりしていた。
実家の猫は長生きをして、長生き猫のお決まりコースの慢性腎不全で死んだのだ。
うちの猫ちゃんもおばあちゃん猫だから、たぶん同じコースを歩むことになるだろう。


この本は三つの部に分かれている。
第一部は、モンが夫婦に飼われることになる場面。
妻の信枝は流産したばかりで傷心の日々を送っていた。
(高齢でやっと妊娠したのだが、どうやらそれは夫の子ではないらしかった。)
家の近くで仔猫が鳴いていて、いやだなぁと思っている。
しつこく鳴き続けるのでしかたなく様子を見に行き、
弱っていたので連れ帰って餌をあげたり体を拭いたり世話してやる。
世話してやるのだが、快復したと思ったら捨てに行くのである。
捨てたはずなのだが、翌日何故かまた自宅の前にいる。
また餌をやっては捨てに行くことを繰り返すのだが、結局最後は飼うことになる。
飼ってやったらどうだと夫の藤治に言われ、
生まれてこなかった子供の代わりに育てることにするのだ。


第二部はかなり場面が変わって、不登校の少年が主人公。
母親が家を出ていき父親と二人暮らし。
少年は動物の赤ちゃんとか小さな子供を見るとイライラし殺意を覚える。
いつもナイフを持ち歩き、ギラギラとした狂気を抱えている。
それが突然、父親が仔猫を連れてきたことで少年に変化が起こる。
結果的にこの仔猫は死んでしまい、ハッピーエンドとはならないのだが。
子供の頃に飼っていた動物を死なせてしまった経験がある人は多いと思うのだが、
自分もそれに洩れず、そのときのこと思い出しモヤモヤした気持ちにもなる。
だが、もしかしたらその頃に
死生観の基みたいなちっぽけなものが生まれたのかなぁとも思えてくる。


第三部では、老猫モンと老人藤治の二人暮らしが描かれている。
信枝に先立たれた藤治は、人と会うことも少なくなり静かな生活を送っている。
元気だと思っていたモンも二十歳となり慢性腎不全を患う。
やがて何も食べなくなって、藤治はモンの死を意識せざるをえなくなる。
藤治は、無理やりでも何か食べさせたほうがよかったのではないか、
そうすればもしかしたら快復したかもしれないという思いにも囚われる。
それでもモンはなんと一ヶ月半生きるのだ。
読んでいると息の詰まる一ヶ月半だが、
私も最後はこういうふうに過ごすのだろうなと思わされるラストだった。

虚言癖

2016-03-24 18:41:44 | 読書、音楽、映画



中村文則の『遮光』を読んだ。
この文庫本には著者自身によるあとがきが付いていて、
中村さんはデビュー作の『銃』とこの『遮光』をとても大切に思っているとのことである。
この本の主人公は虚言癖をもつ青年で、
その嘘の中でも最も悲しいのは、恋人が交通事故死したことを周囲に隠し、
アメリカに留学して幸せに暮らしていると言い続けることである。
しかも、死んだ恋人の遺体の一部を瓶に入れて持ち歩くのだ。
いつもは黒いビニール袋に入っているはずのその瓶を、
青年はある日、何故か電車の中でむき出しで握っていた。
我に返り慌てて瓶を鞄にしまおうとしたときに、
床に落としてしまい瓶はどんどん転がっていきパニックになる。
この場面の描写はかなりドキドキものだ。
というより、車内で感じる視線とか、パニくる様子とか、
なんだか妙に心当たりがあるようなないような。
そんな既視感を感じながら読んでいた。


主人公の青年は虚言癖があるし、気味の悪いものを持ち歩いているし、
暴力性があるしでどうしようもないやつにも思えるのだが、
けっこう周りからは愛されているのである。
そういえば、このところ話題になっていたのは
ショーン何とかという人の経歴詐称と虚言癖。
この人もたぶん、周りからは愛されていたのではないかと思う。
自分が愛されるために、または受け入れられるために、
周りを楽しませるために、または安心させるために嘘をつくのだろう。
私も、虚言癖とまではいかないが(と思うが)嘘をつくことがある。
または、嘘とまではいかないが本当のことを言わないというのもある。
「大丈夫?」と聞かれて、大丈夫じゃないのに「大丈夫!」と答えるのもある。
まぁ自分がそんななので、ショーン何とかという人のことをあまり悪くは言えない。
悪くは言えないけど、嘘つきは泥棒の始まりとも言うし、
いつかはバレるのだろうからつかないほうがいいのは確かだね。

健康本が多い。

2016-03-22 15:17:17 | 読書、音楽、映画
本をいくらか減らそうと思って片付けをしているのだが、
処分する前にもう一度読み直そうと思っているのもあって、なかなか片付かない。
処分に一番困っているのは自分の専門分野の本である。
なかなか手放せないものが多いし、あちこちに線が引いてあるから売り物にならなそうだし。
買ったときにはどれも数千円したものばかりなのだが。


あと多いのは、健康関係の本。
どうやら私は健康になりたかったらしい。
この手の本は、処分してもかまわないものが多いのだけど。





この本はとっておこうと思っている。『農家が教える健康の知恵』という本。
てか、実践していないものばかりなので、
しばらくはこの本で遊んでみてもいいなぁと考えているのだ。
ちなみに、まずやってみたいのは「松ぼっくりエキス」。
青い松ぼっくりを砂糖漬けにしておくと、疲労回復に効くエキスができるんだって。
超簡単だし、やってみるしかないでしょ。

二十年以上読みかけのままの本。

2016-03-19 19:42:49 | 読書、音楽、映画



夢野久作の『ドグラ・マグラ』。
高校時代、友人に面白いと言われ読み始めたが、
ちょっとしか読まずに挫折した本。
日本三大奇書と言われているとおり、初っ端から不気味なのだ。
読み終えたときには精神に異常を来すと言われているが、どうなのだろう。
二十数年の封印を解いて、読んでみることにする。
感想は、書くかもしれないし書かないかもしれないよ。

悪女どころか毒婦。

2016-03-14 19:11:09 | 読書、音楽、映画



本を整理していたら、いろいろと面白い本が出てきた。
我ながら興味深い本を買ってるなぁと感心したり。
で、そのうちの一冊がこれ。
東野圭吾の『白夜行』を読んでから悪女に興味を持ち始めたと思っていたが、
その興味はどうやらずっと以前からだったようで。
それで今はこれを読み返している。
読み終わったら古本屋に持っていくつもりだが。


木嶋佳苗という人は、どうやらやっぱりモテるらしいのだ。
当時、木嶋佳苗の容貌や発言がセンセーショナルに報道されたが、
この本の著者によると、ナマ佳苗は非常に魅力的な女性らしいのだ。
写真で見るほど太ってなくて小柄、そして色白美肌。
なにより惹きつけられたのは、上品で耳に優しいウィスパーボイスだそうで。
裁判を傍聴していた男性記者たちからも、
「思ったほどブスじゃない」とか「声が可愛い」とか
「見ているうちにどんどん可愛くなってきた」とかいう声が上がっていたとのこと。


彼女はすでに死刑判決を受けているのだが、なんと獄中結婚している。
拘置所日記というブログがあって、これもまた結構興味深い。
手書きの文章がアップされているのだが、女性らしい美しい字を書くのだ。
内容はというと、自分大好き感が思いっきり滲み出ている感じ。
彼女は詐欺や殺人を犯した特別な例かもしれないが、
似た感じの女性は世の中にけっこういるような気がしている。
ということで、今夜も『毒婦。』読んで拘置所日記を覘きに行くよ。