goo blog サービス終了のお知らせ 

私は自由気ままに生きている。

―東京暮らし・子無し中年主婦の気ままな日常―

野望と信頼があれば幸せか。

2017-06-21 21:18:54 | 読書、音楽、映画
しおさいの里 幻の動物王国 追悼 本多忠祇 予告編



千葉県にしおさいの里と呼ばれる犬の楽園?があったらしい。
そこでは、本多忠祇さんという70才の男性が保護した犬たちの世話をしていた。
その活動は三十年くらい前からずっと続いていたようだ。
最も多いときで600匹以上の犬の世話をしていたらしい。
昔ワイドショーで話題になったらしいのだが、私は記憶になかった。
活動が紹介された当時は称賛され、寄付金もたくさん集まりボランティアもいたらしいのだが、
その活動実態がどんどん明らかになると一気にバッシングされるようになったとのことだ。
不衛生だったり、届け出をしなかったり、寄付金の用途が怪しかったり、そんなことらしい。


それでも本多氏はしおさいの里をやめなかった。
後に家はなくなり家族も去り、一人施設内のワゴン車で生活していた。
土地ももう自分のものではなかったらしい。
つまり、ホームレスのようなものだったのだ。
だけど、その土地の持ち主の厚意なのかどうかはわからないが、
しおさいの里を維持し続け、悪く言えばそこに居座っていたということになる。
しおさいの里は粗大ごみで溢れ、ゴミ屋敷、
いや、屋敷ではないから粗大ごみ置き場のようなところだ。
人が通ると数十匹の犬たちが一斉に吠えまくる。
ド田舎だから許されていたのだろうか。


本多氏には野望があった。
犬たちの写真集を出版し、その収益で寺をつくるという。
このドキュメンタリーを見るとその辺の話も面白いのだが、
要は教祖様になってお金を集めたいらしいのだ。
本多氏は妙にカリスマ性を感じさせる人で、よく考えるとおかしな話なのだが
聞いていると何だか吸い込まれていくようなそんな人である。
魅力的な人間だけど、危険人物でもありそうだ。


その本多氏は、昨年12月に亡くなったそうなのだ。
詳しいことは明かされていないが、しおさいの里にはもう犬たちもいないらしい。
本多氏は結局、野望を果たさないまま逝ってしまったのだ。
というか、客観的に見れば果たされるわけのない野望なのだが。
それでも本多氏は本気で楽しそうに野望を語っていた。
世話されてる犬たちも、傍目からは劣悪な生活に見えるが幸せそうなのだ。
犬たちは本多氏を信頼しているし、本多氏も犬たちは裏切らないと言う。
しおさいの里は粗大ごみ置き場だったけど、彼らの楽園だったのだ。

ナルシスト

2017-06-11 21:52:13 | 読書、音楽、映画
映画「アメリカン・サイコ」日本版劇場予告



アメリカン・サイコ(2000)
誰もが羨むリッチなエリートが殺人鬼の顔を持っているという話。
ハーバード大卒、投資会社副社長、イケメン、27歳。
日々筋トレ、美肌、健康づくりに励んでいる。
都心の一等地の高層階に住み、ブランドのスーツに身を包む。
婚約者とは別に、最高のルックスの愛人がいる。
仕事の後は、同僚たちと高級レストランで食事する毎日。
名刺バトル、うわべだけのどうでもいい会話。
人の名前を間違えたり間違われたり、お互い無関心。
ベイトマンもいつもごもっともなつまらない意見ばかりしている。


ベイトマンは社会に適合するため無理をしているのだ。
それに加え、潔癖、完璧主義。
自分よりイケてる男、ポール・アレンを自宅に招き、斧で殺害するシーンがある。
このときも床に新聞紙を敷きつめていたり、家具にカバーをかけていたり。
自分は透明のレインコートを装着して準備万端。
酔っているせいか、笑えることに
ポール・アレンはこのシチュエーションを怪しんでいないのだ。


この後もベイトマンは次々と人を殺していく。
だけど、たぶんベイトマンはサイコパスではない。
しいて言えばソシオパスというやつか。
彼には罪の意識がある。誰かに止めてほしいと願っている。
その証拠に、最後は弁護士に罪を告白して救いを求める。
だが悲しいことに、まともに取り合ってもらえない。
死体を隠していたポール・アレンのアパートを訪れたときも、
何事もなかったかのように片づけられていて驚く。
しまいには、管理人らしき女性から二度と来るなと言われる。
つまり、弁護士も管理人も面倒なこと、都合の悪いことに蓋をしているのだ。
これによってベイトマンは罪に問われることはなくなったのだった。


この映画、けっこう好きで繰り返し見ている。
クリスチャン・ベール演じるベイトマンのナルシストっぷりとか面白い。
そういえば、私も若い頃はナルシストの気があったのだ。
今ではシミそばかすだらけのおばちゃんだが、
かつては色白でサラサラヘアー、天使のようだと言われていたのだ。
そうやってちやほやされていたから、自分で自分を特別な人間だと思っていた。
暇さえあれば鏡を眺めていたし、髪のブラッシングもまめだった。
本気で、自分より可愛い子などいないと思っていた。
あの頃の自分を引きずったまま生きていたら危ない人間になっていただろう。
まぁ今でも十分危ないかもしれないが。

罪悪感

2017-06-11 19:19:47 | 読書、音楽、映画
映画「マシニスト」日本版劇場予告



マシニスト(2004)
主人公の男は不眠症を患っている。
もう一年もまともに寝ていない。
食欲もなく、体重は以前の半分ほどになってしまった。
幻覚を見るようにもなっている。


男は生真面目な機械工。
だがある日、不注意で同僚の片腕を切断してしまう。
この事故をきっかけにさらに被害妄想がエスカレートする。
何故こんなことになってしまったのか。
やがて男は一年前の出来事を思い出す。
大きな罪から逃げていたのだった。


ありがちなストーリーでラストは安易な感じがするが、
人は罪悪感を抱えたまま生きていくのは難しいということだろう。
クリスチャン・ベールの役作りが見事であった。

銀河鉄道999

2017-05-10 23:41:11 | 読書、音楽、映画
劇場版銀河鉄道999最後の別れのシーン



おそらく三十年以上ぶりに見た。
やっぱりいいね、999。
劇場版はエンディングのゴダイゴの曲が最高によかった。


子供の頃、松本零士のアニメをよく見ていた。
私の年代は999の影響を受けて大人になっているのではないかと思われる。
死生観を決定づけられたと言っても過言ではない。
アニメの力って恐ろしいね。


ちなみに、私はメーテルに憧れてロングヘアーにしていたクチ。
だから、お尻が隠れるくらいまで髪を伸ばしていた時期がけっこうあったのだ。

その夜の侍

2017-05-10 23:18:09 | 読書、音楽、映画
映画『その夜の侍』予告編



これ、なかなか面白かった。
というか、役者さんたちの演技に吸い込まれた。
主演は堺雅人、山田孝之。
他、新井浩文、綾野剛、谷村美月、坂井真紀。
奥さんをひき逃げで殺された男(堺)が犯人の男(山田)に復讐しようとする話。
堺雅人演じる主人公は糖尿病で喫煙者、
奥さん殺されて生きる気力をなくしているダサくてちょい気味悪いオヤジ。
山田孝之演じる犯人は自己中で態度デカく暴力的、
服役後は知人の家転々として何となく生きてるサイコパスっぽいやつ。
犯人は嫌な奴なのに、人を惹きつける魅力があるのか、何だかんだで仲間がいる。
その仲間役の綾野剛が私はけっこう好きで、この映画でもいい味出している。
普通の人なのに、サイコパスとつるんでるから悪い奴に見られる。
ひき逃げの車に同乗していて救急車呼ぼうとするが、
犯人にそそのかされて一緒に逃げてしまう。
それでもやはり良心と常識があるから、あとから自首するという普通の人間。
わかりやすい正義や悪よりも、
こういう微妙な葛藤のある役がぴったりあてはまる役者さんだね。