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私は自由気ままに生きている。

―東京暮らし・子無し中年主婦の気ままな日常―

続・怒り

2016-05-11 19:40:50 | 読書、音楽、映画
どうにもよくわからない部分が多くて、『怒り』をパラパラと読み返していた。
怒り
ストーリー自体は非常に面白い。
八王子の住宅街である夫婦が惨殺されるところから物語は始まる。
殺害現場の家の壁には被害者の血で「怒」と書かれていた。
犯人はすぐに特定された。山神一也という若い男。
だが山神は一年以上も逃亡を続けている。
おそらく整形手術をして顔を変えているらしい。
その後、物語は三つの場面に展開される。
東京の直人、千葉の田代、沖縄の田中。
三人の男たちはそれぞれ謎が多い。
どうやらこの中に山神がいるらしいのだ。


それで、何がよくわからなかったのかというと、「怒」の意味。
タイトルの「怒り」にしろ、犯人が壁に残した「怒」という文字にしろ、
犯人が一体何に怒りを感じていたのかがいまいちはっきりしない。
物語の終盤で、山神が殺人をする前に怒りを抱えていたらしいことがわかるが、
それは人を殺すほどのことでもないし、しかも被害者とはまったく無関係なのである。
この後書くことはネタバレ要素を含むため、
もし映画を見たい人がここを訪問されていたらこの先は読まないほうがいいかもしれない。


この小説は、「怒り」という感情よりも、
人を信じることの難しさを描いている印象が強い。
信じるべきなのに信じられなかった、信じたのに裏切られた、というような。
山神は最後に、仲良くしていた少年に殺されるのだ。
少年は山神を信じていたから、裏切りが分かったときに包丁で刺したのだ。


山神という男は、いい人のように見えるが実は何を考えているかわからない。
事件後も前も、いろんな職場を転々としているが、どの仕事も真面目にうまくこなす。
真面目に仕事をしていたと思うと、急に暴力沙汰を起こして姿をくらます。
まるでツイッターのような短い文章で、メモ書きに本心を吐露する癖がある。
山神を知る人物の話を総合すると、山神はどうもサイコパスっぽい人物にも思える。
ふだんは温厚なのに、ちょっとしたことで怒り出すと抑えられなくなる。
潜伏中に地元の少女や少年と仲良くなり、彼らの抱えている怒りを告白され戸惑う場面もある。
山神は、怒りという感情とうまく付き合えない人物なのだ。
そういう意味での「怒り」というタイトルなのかな。
私自身も、怒りという感情が嫌いで、怒りを感じるとそれを押し殺す傾向がある。
怒りが鎮まっているうちはいいだろうが、本当は危険なような気もしている。


そういえば、夫は怒りっぽい質である。
何に怒るかというと、おもに非常識な人々に対して。
狭い歩道を手をつなぎながら歩いてくるカップルなど見ると、ムカつくらしい。
(ちなみに、私たちはこういうときいつも一列になってよけて歩く。)
それと、住宅道路の交差点で、一時停止しない車や自転車。
回転寿司で、落ち着きのない子供をレーン側に座らせる親。
バスや電車の中で大きな声で会話する乗客。
いちいちそんなことで怒ってたら血圧上がるよと、私は言っている。


怒りっぽいと言えば、ママも別な意味で怒りっぽい。
ママの怒りは非常に粘着質で面倒くさいのだ。
夫の話は笑って聞けるが、ママの話はできるなら聞きたくない。
だけど、誰かに話せるだけマシなのかもしれない。
私などは、怒りは嫌な感情だと思っているのでめったに表さない。
怒りを表すとしたら、笑いや皮肉に変えてしまう質なのだ。

誰もが怪物になり得るのか。

2016-05-11 12:43:10 | 読書、音楽、映画
Monster - Official® Trailer [HD]



『モンスター』(2003)
シャーリーズ・セロン主演、恋人役をクリスティーナ・リッチが演じた。
美人女優シャーリーズ・セロンの驚きの役作りが話題になった。
13kg太って体型を崩し、眉毛を抜いて連続殺人犯を演じたのだ。
何かのインタビューで見た記憶があるが、
太るのはダイエットするより断然簡単だというようなことをシャーリーズ・セロンが言っていたような。
そうだよね、お菓子食べながら部屋でゴロゴロしていればあっという間に太るからね。
きっと、撮影後のダイエットが辛かったことだろう。


この映画は、アイリーン・ウォーノスという連続殺人犯の実話をもとに作られたもの。
幼い頃から性的虐待を受けてきたアイリーンは娼婦として生きていくしかなかったようだ。
ヒッチハイクで客を取り、路上生活のような暮らしぶり。
もういい年になってきたアイリーンは次第に客を取れなくなってくる。
そんな生活に疲れ果て、自殺する前に有り金を全部使おうとあるバーに入り酒を飲む。
そのバーでクリスティーナ・リッチ演じるセルビーと出会う。
セルビーはレズビアンで、年下の可愛らしい女性。
二人は酒を飲みながら会話が弾み、仲良くなる。
やがて同性愛関係になり、二人はホテルを転々とする生活を送るようになる。


アイリーンは生活費を稼ぐために、堅気の仕事に就こうと就職活動をする。
だが、結局仕事は見つからず(というかすぐキレるアイリーンにも問題あり)
売春の仕事に戻るしかなかった。
だがある日、いつものようにヒッチハイクで客を取るつもりが男から暴力を受ける。
そこで衝動的に殺人を犯してしまう。
この殺人で金と車を得たアイリーンは、その後も同じことを繰り返すようになる。
こうやって何人もの男性を殺し、最後は捕まり死刑宣告を受ける。


一方セルビーは、普通の家庭に育った擦れたところのない女の子。
家出をしアイリーンと暮らし始めるが、経済的にアイリーンに依存している。
アイリーンが逮捕された後は、保身のためか警察に協力するような供述をする。
それでもアイリーンはセルビーを責めることはないのだ。


アイリーン・ウォーノスに関してはドキュメンタリー映画も作られている。
これを見ると、少女時代は可愛らしい顔をしている。
アイリーン本人の風貌は、パッと見はだらしのない気性の激しいおばさんのようである。
だが、笑ったときの顔や若い頃の写真を見ると、もとは美人の類なのではないかと思う。
そう考えると、この役をシャーリーズ・セロンが演じたのは納得がいく。
シャーリーズ・セロンにも過酷な過去があったようだし、上手く感情移入ができたのかもしれない。


それにしても、人がどんどん堕ちて犯罪者になっていくような話に触れる度に思うのは、
自分もそうなる可能性がゼロではないのではないかということだ。
だがそれと同時に、引き返せるチャンスは随所にあったのに、
どうしてそれを無駄にしてしまったのかという悲しい気分にもなる。
それに、やはり私自身は、どんなことになっても人の命を奪うことはないようにも思う。
そこまで追い詰められたことがないからわからないだけかもしれないが。
そう考えると、どうにもできないところまで追い詰められることがないように
地道に生きていくしかないのかなと思うのだ。
そこが怪物になるかどうかの一つの分かれ道のような気がする。

2016-05-10 09:11:42 | 読書、音楽、映画
American Beauty - Trailer



『アメリカン・ビューティー』(1999)
アメリカン・ビューティーというのはバラの品種である。
映画の中で、真っ赤なバラが度々出てくる。
見栄っ張りの妻が大事に育てている赤いバラ。
娘の友人に恋する夫が、エロい妄想をするシーンに出てくる赤いバラ。
そういえば、アメリカンドリームを象徴する家のドアも真っ赤だ。


映画の冒頭で、主人公のレスターが近々死ぬことを明らかにしている。
娘が隣人の少年に父親の殺害を依頼するシーンがあるし、
はじめはミステリー映画なのかと思って見ることになる。
だが、見ているうちに馬鹿っぽいアメリカドラマのような展開になって笑えてくる。
笑えるシーンがある一方で、深刻な問題を扱っているようにもとれる不思議な映画。
ラストは、レスターが美しい記憶を回想しているところで殺されて終わり。
結局、犯人は娘ではなかったのだが。


町山智浩の映画塾!「アメリカン・ビューティー」<予習編> 【WOWOW】#176



町山智浩の映画塾!「アメリカン・ビューティー」<復習編> 【WOWOW】#176



この解説が面白い。
編集の段階で構成がかなり変わったようだ。
お笑いなのかマジなのかをはっきりさせなかったところに面白みを感じさせる。
ケヴィン・スペイシーの演じる中年男、日本にもいそうである。
人間、中年にもなると危機があったり転機があったりするものだ。

LOST SOCIETY - Hangover Activator

2016-05-09 23:27:45 | 読書、音楽、映画
LOST SOCIETY - Hangover Activator (OFFICIAL MUSIC VIDEO)



そういえばLost Society、すごくよかったよ♪
みなさん二十歳そこそこで、若々しいというか可愛さすら感じるほどだった。
もちろんパフォーマンスは激しくて申し分なし。
ラストにOutrageとMetallicaの曲をセッション。
大変貴重なものを見させていただいたのだった。