事業仕分け 結果の詳報 2010年10月29日
事業仕分け結果の詳報
行政刷新会議の事業仕分け第3弾前半3日目の結果詳報は次の通り。
▽グループA
【太陽熱エネルギー普及支援2事業(エネルギー対策特別会計)】
環境省が所管する太陽熱エネルギーによる家庭用温水システムへの補助事業は「来年度の予算計上は見送り」、経済産業省の住宅用太陽光発電への補助事業は「20%を目途に予算要求を圧縮」と判定した。両省は二酸化炭素(CO2)の排出量削減に効果が期待でき、地球温暖化対策に欠かせないと主張したが、仕分け人からは「似たような事業なのに、所管が違うことが理解できない」「私有財産への高額助成は国民の理解が得られない」との指摘が続出した。
【先進的次世代車普及促進事業など4事業(同)】
燃料電池自動車などの購入補助事業をはじめとする3事業について、いずれも半減をめどに予算を圧縮すべきだと判定。省エネ型の冷凍・冷蔵装置の導入補助事業は補助率の現状維持を求めた。4事業を所管する環境省は、燃料電池車など先進的な取り組みの普及を促すには多額の初期費用がかかると主張し、理解を求めた。だが仕分け人は「経産省にも似た事業があり無駄ではないか」「導入補助を出すよりも、価格が普及する水準に下がるまで研究開発に投資すべきだ」などと指摘した。
【原子力発電共用施設地域交付金など電源立地対策費4事業(同)】
判定は「1~2割をめどに予算を圧縮」。仕分け作業では、文部科学省が所管している原子力研究開発施設の立地地域に支給している交付金の使われ方を議論。仕分け人から「使途が限られ、不要不急の施設に使われているのではないか」などの批判が続出した。枝野幸男前行政刷新担当相は自治体の借金返済にも使えるようにすべきだと主張した。原子力教育の普及目的とした交付金などにも「効果が不明確」との指摘が相次いだ。
【高速増殖炉サイクル実用化研究開発など電源利用対策費2事業(同)】
文科省が所管し、独立行政法人日本原子力研究開発機構が手掛ける。高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)などの研究開発、放射性廃棄物の埋め立ての研究開発が仕分けの対象となり、ともに予算要求額を1割程度削減すべきだと判定した。もんじゅの研究開発は、2011年度予算概算要求に105億円を計上している。仕分け人は、1995年のナトリウム漏れ事故の経緯をあらためて問いただし、8月にも装置落下事故が発生したことを問題視した。
【エネルギー対策特別会計の在り方】
ガバナンス強化などの見直しが必要と判定。剰余金の不要な部分は一般会計に繰り入れるよう求めた。同特会は経産、環境、文科の3省が所管している。仕分けは「3省以外の省庁が特会の財源を使えないのはおかしい」「受益者が納得できる中身になっていない」などと指摘。特に二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目的とする事業について、経産、環境両省以外の省庁も特会の財源を活用できるよう制度改革を求めた。特会が保有する有価証券などの資産売却を求める声も出た。
【知的財産教育セミナー開催事業など2事業(特許特別会計)】
小中高生らに知的財産制度への理解を深めてもらう知的財産教育セミナー開催事業について「廃止」と判定した。仕分け人からは「教育は文科省に任せ、審査の迅速化などに力を入れるべきだ」などの声が上がった。インターネットで特許関連情報を無料検索できる特許電子図書館事業は、15年度に特許庁の新検索システムが稼働するのに合わせて廃止すると結論づけ、廃止までの間、コストを最大限削減するよう求めた。
【特許特別会計の在り方】
特許庁の特許審査経費などを管理する同特会は「ガバナンスを強化するという前提で制度を維持」と判定した。同特会の財源はビジネス関係の特許出願の審査料などで、廃止を求める声は少数だったが、受益と負担の関係が明確になっていないとの批判が出た。賃料の高い東京都心のビルに事務所を構えている点や、関連団体が経産省の天下り先になっていることも疑問視された。
▽グループB
【交付税・譲与税配付金特別会計】
地方自治体全体の歳入と歳出の見通しを明らかにするため、政府予算案の編成時に毎年度策定している地方財政計画について、仕分け人が「実態とかけ離れており、地方交付税が膨らむ要因となっている」などと批判。同計画も含めた交付税制度全体を見直すよう求めた。交付税の不足額を補うために累積した特別会計の借入金33兆6千億円は地方側の借金であることを強調した上で、より確実な返済を検討するよう「抜本的見直し」を要求。交通違反で納められた反則金を国が自治体に再配分している交通安全対策特別交付金勘定は「廃止し一般会計に統合」と判定した。
【森林保険特別会計】
山火事や台風など自然災害による森林の損害を国が補償する森林国営保険は加入率が09年度の13・3%と低迷している。民間の損保会社に対するヒアリングで、国の再保険制度があれば実施を検討するとした会社があったことなどから、仕分け人は特会を「廃止」と判定。森林保険を民間など国以外の主体に移管できるか早急に検討するよう求めた。保険金支払いに備えた積立金は10年度末で173億円に上る見込みで、適正な水準になるよう積み立て基準の見直しも要請した。
【登記特別会計】
登記特会は10年度末に廃止され、一般会計への統合が決まっている。仕分け人は個人や企業が不動産や商業の登記をインターネットで取得する事業を独占的に行う財団法人「民事法務協会」に法務局OBが天下り、約6億円の内部留保を持っていることを問題視。この事業の「抜本的見直し」を求めた。民間の参入を認めるべきだとの指摘に対し、協会を所管する法務省は「収益を上げることを予定していない事業だ。なかなか参入はないのでは」と反論した。
2010年10月29日金曜日
グループA 録画
グループB 録画
行政刷新会議
国家戦略室
事業仕分け結果の詳報
行政刷新会議の事業仕分け第3弾前半3日目の結果詳報は次の通り。
▽グループA
【太陽熱エネルギー普及支援2事業(エネルギー対策特別会計)】
環境省が所管する太陽熱エネルギーによる家庭用温水システムへの補助事業は「来年度の予算計上は見送り」、経済産業省の住宅用太陽光発電への補助事業は「20%を目途に予算要求を圧縮」と判定した。両省は二酸化炭素(CO2)の排出量削減に効果が期待でき、地球温暖化対策に欠かせないと主張したが、仕分け人からは「似たような事業なのに、所管が違うことが理解できない」「私有財産への高額助成は国民の理解が得られない」との指摘が続出した。
【先進的次世代車普及促進事業など4事業(同)】
燃料電池自動車などの購入補助事業をはじめとする3事業について、いずれも半減をめどに予算を圧縮すべきだと判定。省エネ型の冷凍・冷蔵装置の導入補助事業は補助率の現状維持を求めた。4事業を所管する環境省は、燃料電池車など先進的な取り組みの普及を促すには多額の初期費用がかかると主張し、理解を求めた。だが仕分け人は「経産省にも似た事業があり無駄ではないか」「導入補助を出すよりも、価格が普及する水準に下がるまで研究開発に投資すべきだ」などと指摘した。
【原子力発電共用施設地域交付金など電源立地対策費4事業(同)】
判定は「1~2割をめどに予算を圧縮」。仕分け作業では、文部科学省が所管している原子力研究開発施設の立地地域に支給している交付金の使われ方を議論。仕分け人から「使途が限られ、不要不急の施設に使われているのではないか」などの批判が続出した。枝野幸男前行政刷新担当相は自治体の借金返済にも使えるようにすべきだと主張した。原子力教育の普及目的とした交付金などにも「効果が不明確」との指摘が相次いだ。
【高速増殖炉サイクル実用化研究開発など電源利用対策費2事業(同)】
文科省が所管し、独立行政法人日本原子力研究開発機構が手掛ける。高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)などの研究開発、放射性廃棄物の埋め立ての研究開発が仕分けの対象となり、ともに予算要求額を1割程度削減すべきだと判定した。もんじゅの研究開発は、2011年度予算概算要求に105億円を計上している。仕分け人は、1995年のナトリウム漏れ事故の経緯をあらためて問いただし、8月にも装置落下事故が発生したことを問題視した。
【エネルギー対策特別会計の在り方】
ガバナンス強化などの見直しが必要と判定。剰余金の不要な部分は一般会計に繰り入れるよう求めた。同特会は経産、環境、文科の3省が所管している。仕分けは「3省以外の省庁が特会の財源を使えないのはおかしい」「受益者が納得できる中身になっていない」などと指摘。特に二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目的とする事業について、経産、環境両省以外の省庁も特会の財源を活用できるよう制度改革を求めた。特会が保有する有価証券などの資産売却を求める声も出た。
【知的財産教育セミナー開催事業など2事業(特許特別会計)】
小中高生らに知的財産制度への理解を深めてもらう知的財産教育セミナー開催事業について「廃止」と判定した。仕分け人からは「教育は文科省に任せ、審査の迅速化などに力を入れるべきだ」などの声が上がった。インターネットで特許関連情報を無料検索できる特許電子図書館事業は、15年度に特許庁の新検索システムが稼働するのに合わせて廃止すると結論づけ、廃止までの間、コストを最大限削減するよう求めた。
【特許特別会計の在り方】
特許庁の特許審査経費などを管理する同特会は「ガバナンスを強化するという前提で制度を維持」と判定した。同特会の財源はビジネス関係の特許出願の審査料などで、廃止を求める声は少数だったが、受益と負担の関係が明確になっていないとの批判が出た。賃料の高い東京都心のビルに事務所を構えている点や、関連団体が経産省の天下り先になっていることも疑問視された。
▽グループB
【交付税・譲与税配付金特別会計】
地方自治体全体の歳入と歳出の見通しを明らかにするため、政府予算案の編成時に毎年度策定している地方財政計画について、仕分け人が「実態とかけ離れており、地方交付税が膨らむ要因となっている」などと批判。同計画も含めた交付税制度全体を見直すよう求めた。交付税の不足額を補うために累積した特別会計の借入金33兆6千億円は地方側の借金であることを強調した上で、より確実な返済を検討するよう「抜本的見直し」を要求。交通違反で納められた反則金を国が自治体に再配分している交通安全対策特別交付金勘定は「廃止し一般会計に統合」と判定した。
【森林保険特別会計】
山火事や台風など自然災害による森林の損害を国が補償する森林国営保険は加入率が09年度の13・3%と低迷している。民間の損保会社に対するヒアリングで、国の再保険制度があれば実施を検討するとした会社があったことなどから、仕分け人は特会を「廃止」と判定。森林保険を民間など国以外の主体に移管できるか早急に検討するよう求めた。保険金支払いに備えた積立金は10年度末で173億円に上る見込みで、適正な水準になるよう積み立て基準の見直しも要請した。
【登記特別会計】
登記特会は10年度末に廃止され、一般会計への統合が決まっている。仕分け人は個人や企業が不動産や商業の登記をインターネットで取得する事業を独占的に行う財団法人「民事法務協会」に法務局OBが天下り、約6億円の内部留保を持っていることを問題視。この事業の「抜本的見直し」を求めた。民間の参入を認めるべきだとの指摘に対し、協会を所管する法務省は「収益を上げることを予定していない事業だ。なかなか参入はないのでは」と反論した。
2010年10月29日金曜日
グループA 録画
グループB 録画
行政刷新会議
国家戦略室