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一心走太(いっしんそうた)~駆け抜けろ人生❗️

2025-05-29 01:29:00 | 日記




牧カオリの勤務する会社に、
クミという女性新入社員が入ってきた。
牧カオリと同じ営業事務で、
パソコンで一取引先との受注関係一切を任せられることになった。
そして、
他の社員達が忙しくパソコンと格闘している中、
クミは、
ひとりの私服社員がナニもせずに席に着いているのを見た。
この社員は、
一心走太(いっしんそうた)という名の青年で、
数年前から勤務していたという。

クミは、
心に、
「会社のお荷物さんかな?」と呟いた。
すると、
課長がいくつかの封書を一心走太(いっしんそうた)のところに持ってきて、
どこどこの支店、どこどこの営業所に届けるように指示した。
一心走太(いっしんそうた)は席から立ち上がり、
「一心走太❗️ただ今よりお届けにまいります❗️」と大声出して、
室内から駆け去った。
そして一心走太は社内から歩行路に出て、
そのまま封書類を持って猛スピードで走って行った!
その様子をじっと見ていたクミは釈然としない表情を浮かべた。
そこに牧カオリが来て、
「一心走太(いっしんそうた)のおかげで郵便料金が節約出来るのよ。あの書類は速達書留にあたるから、一心走太がいなければ、イマの高い郵便料金に苦しめられていたことでしょう。ありがたいことよ」と言った。
しばらくすると一心走太は帰って来て、
同じことを繰り返すんやった。
それは、
翌日もその翌日も続き、
クミは一心走太(いっしんそうた)の会社内での役割を知った。
が、
心に、
「まるで現代の飛脚だわ」と思った。

時が経ち、
クミは会社慣れし始めた。
入社当初の緊張も緩み、
ミスが多くなった。

ある日、
一人暮らしのアパートで、
深夜にベッドで寝息を立てて眠り込んでいたクミは、
いきなりガバっと跳ね起きて、
「ガッチョーん❗️❗️」と叫んだ!!
アンと😳
発注品数のゼロをひとつ多く付けていたミスにいきなり気づいたということやった。

クミは朝一番に会社に駆けつけて、
すぐにパソコンを立ち上げて修正しようとしたら、
もう修正されていた。
クミは、
昨日は時期外れの暑さから心に蜃気楼がかかっていたとか訳のわからん理由をたてて、
無理矢理自分を納得させようとしてたら、
牧カオリが近づいて来た。
そして、
「誰かが大きなミスをするとこだったみたい。それを一心走太が見つけて訂正作業してたらしいわ」と言った。
クミは、
そこで、
一心走太(いっしんそうた)が、
ただの飛脚もどきの封書届けばかりでなく、
各社員のパソコン上のミスのチェックまでしていることを知った。

クミは牧カオリに、
そんなパソコン技能を持っている一心走太(いっしんそうた)をナンで封書類の走り使いをやらせているのか尋ねた。
牧カオリは、
一心走太(いっしんそうた)自身がそれを望んでいることを教えた。
クミは納得がいかず、
「封書類持って走るよりパソコン業務してた方が楽ですし、昇進も早いはずです!」と言い張った。
牧カオリは、
「自由に野を駆け回る鹿を動物園で保護することと、そのまま野を駆け回らせることと鹿にとってはどちらが幸せかしら?」と、
問い返した。
クミは、
「でも、年齢とともに体力は衰えていきます。一心走太(いっしんそうた)さんをこのままにすべきじゃありません」と答えると、
牧カオリは、
「あなたは吹き付ける風を捕まえることがお出来になるの?」と更に問うた。
クミは納得した。
一心走太(いっしんそうた)は風であることを。
人生という名の平原に吹き付ける風であることを。





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