えつこのマンマダイアリー

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最近の新聞記事より ~「リーダーは自分の中に」~

2021年01月11日 | 雑記

(↑ メジロ 2021年1月11日自宅にて撮影 ※記事内容に関係ありません) 

 

 2021年1月10日付東京新聞朝刊の「時代を読む」欄に掲載された宇野 重規(しげき)氏(東京大学教授)の投稿を紹介します。

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「リーダーは自分の中に」 

 リーダーとは誰か。他のメンバーに先立って未来を見定め必要なことを率先して実現していく人、社会や組織全体の利益を優先し、自己の利益を相対化できる人、人々の思いや希望を言葉に表現し、全体の目標を設定できる人、等々。望めばキリがない。リーダーといっても同じ人間である。あまりに短絡的でなく、利己的でもなく、人々の思いに鈍感でなければいいという考えもあるだろう。

 しかしながら、現実には、あまりに視野が狭く、自分や身近な人々の利益ばかりにこだわり、それ以外の声には耳を貸さない指導者が少なくない。もちろん、それは分断化された現代社会の縮図にほかならない。未来は見えてこない。世の中は、自分と相いれない人々で満ちている。他者の声に耳を傾ける必要はなく、断固として「NO!」と言わなければならない。多くの人がそう思えば、それにふさわしい「リーダー」ばかりが世に横行することになるだろう。

 2021年のスタートは、決して明るいものではない。新型コロナウイルス第三波による新たな感染拡大に対し、各国のリーダーの行動は鈍い。予測されていた事態であるにもかかわらず、そのための準備は十分でなく、その場しのぎの対応が目立つ。日本もまた例外ではない。「勝負の3週間」を無為に過ごし、Go To キャンペーンにこだわって感染拡大を食い止められず、国民に多人数での会食を避けるよう求めながら、それに反する実例を自ら示してしまう。緊急事態宣言のタイミングにも疑問が残った。
 未来を見据えて国民に協力を訴えるというより、状況に流されて後手後手に対応しているという印象を否定できない。またこの危機で経済的に苦しむ人々への配慮や、崩壊寸前の治療の前線にあって粉骨砕身する人々への共感が前面に出るわけでもない。国民の間においても、このような状況にあって、他から必要な支援を受けられず、自らの力で困難な状況を生き残るしかない、というあしき意味での「自助」の悲壮な決意ばかりが目立つのではないか。

 しかしながら、そのような状況も、米国と比べればまだましかもしれない。そのような思いを抱かせた、トランプ大統領支持者による連邦議会議事堂への乱入事件であった。大統領選の結果を最終的に確定する手続きが行われている中、「選挙を盗むな」と連呼し、「議会へ行こう」と人々をあおったトランプ氏の責任は大きい。自らに不都合な事実には耳をふさぎ、選挙や議会への尊厳を否定し、破壊願望に火を付けて回る人物を、はたして「リーダー」と呼ぶべきなのだろうか。

 小説家の梨木香歩(なしきかほ)さんは、『ほんとうのリーダーのみつけかた』において、むしろ自分の中に「リーダー」を探せとアドバイスする。誰よりも自分のことをわかってくれた上で、時には厳しいことも言ってくれる内なる声、これこそが「ほんとうのリーダー」である。ソーシャルメディアなどにあふれる言葉に振り回される前に、自分の中で静かな対話を行い、付和雷同しないことを梨木さんは求める。
 すべてを解決する救世主的なリーダーを求めるより、まずは自分自身の内なる声に耳をすますこと、その上で「自分はこう思う」としっかりと声を上げることそこからしか、リーダーの再建は不可能ではないだろうか。

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 (※文中の段落のブロック分けと太字化はブログ管理人によります。また、読みやすいように、原文中の漢数字を算用数字に置き換えています。)

 

 宇野氏といえば、昨年来問題視されている、菅総理大臣によって任命を拒否された「日本学術会議」の新会員候補6名のうちの一人ですよね。これまでこのブログでも、こちらの過去記事:「最近の新聞記事より ~数に負けまい! 声を上げよう!~」「最近の新聞記事より ~『たかがモリカケ』じゃない~」で、宇野氏のコラムを取り上げてきました。宇野氏は、このようにいろいろな観点から前安倍政権や現菅政権を批判してきているため任命を拒否された、と言われています。

 また、「日本学術会議」の任命拒否問題については、内田 樹(たつる)氏(思想家・哲学家・武道家)が自身のブログ内のこのコラムこちらのコラムで健筆を振るっています。単なる任命拒否という表層的な問題ではなく、日本国憲法が保障する権利に関わる重大な問題であることはすでに言われていますが、国民がこの問題の本質を見過ごし、重大視しないで政権のやり方を傍観していると、国民の未来はどうなるのか…。これらのコラムは、現在の日本国民の状態や統治者との関係について、本質をついた内容のものだと思います。

 さらに、リーダーといえば、トランプ氏が一定数のアメリカ人に支持される理由について、やはり内田氏がとても興味深い観点で考察しています。こちらのコラムで読めます。客観的に見ればとても乱暴で幼稚なリーダーに思えるトランプ氏が、なぜあそこまでアメリカ人、特に白人に支持されているのか…長い間私はとても不思議に思っていたのですが、このコラムを読んで溜飲が下がる思いがしました。フランス人にとっての「自由と平等」の意味や位置づけと、アメリカ人にとってのそれらが根本的に違うということ、そして、トランプ氏への支持が、アメリカ人の西への開拓精神を支えた社会的背景に起因するということ…。あくまでも内田氏の考え方ですが、とても興味深いと思います。また、内田氏が分析する、アメリカであれほど新型コロナウイルスが感染爆発する理由にも頷けます。
 いずれも、それらの現象は、ある意味ではアメリカの資本主義の歪の現れ、と言えるのかもしれません。でも、それを歪とは捉えないどころか、それこそが資本主義的平等だと捉えるのがアメリカ人だし、それが社会主義的平等との違いであると捉えているのかもしれません。そして、アメリカ人の捉える資本主義的平等には、キリスト教という宗教の考え方が根底にあるのでしょうから、元々日本人にすんなりと理解できるわけがないですし、とても奥深い問題なのですね。さらに、日本の為政者(リーダーとは呼びたくない(^^ゞ)は、アメリカへの従属と依存を是とすることで、アメリカの資本主義的平等をも受け入れているということですから、彼らの考え方が日本国憲法と平仄(ひょうそく)が合わなくなるのも必然的な結果ですねぇ…。あらら、何をブツブツ言っているのかわからないですよね、すみませんm(__)m 詳しくはくだんのコラムをご覧ください。

 

 長々とおつき合いくださり、ありがとうございましたm(__)m

 


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