◆2012年も後半になった。復帰を目指す彼にとって7月1日は良いきっかけになった。

いよいよと言うか、あっという間と言うべきか、2012年度も後半になった。息子は2年生になる直前にケガをした関係で、2年生になって、まったくサッカーをしていない日々が続いている。彼は、折れそなう心を振り払うように、懸命に自分自身を励まし、復帰するためのリハビリトレーニングを1日も欠かさなかった。もちろんその間に、色々な軋轢や孤独感や葛藤や閉塞感や決意や希望など、おおよそ考えうるあらゆる感情に揺れながら2012年の前半を過ごした。伸び盛りのサッカー小僧にとっては、あまりにも不遇な停滞であったことだろう。

2012年のスタートはとても順調だった。2012年最初の活動は中国トレセンから始まった。ある程度のパフォーマンスを表現できていた。所属クラブの新チームでの神戸遠征。Ｊリーグの下部組織とのゲームを体験した。山口県クラブユース新人戦では、全4試合にスタメンとして出場し、優勝に貢献した。チームの闘い方を固めるための熊本遠征。
そして、あとは4月のプログレスリーグの開幕を迎えるだけになっていた。その時に負ったケガ。彼のサッカー人生は一転した。患部である右ヒザの固定。松葉杖。検査・診断。入院。手術。リハビリトレーニング。折れそうな心。復活への準備。そして、練習参加の目途。いろいろなものが目まぐるしく我々に迫り、我々を翻弄した。そうやって2012年の前半を終えた。



2012年後半の7月1日。コウスケのホームグランドで、”山口県トレセン合同練習会”が開催された。コウスケはケガによる保留選手扱いで参加させていただいた。懐かしいサッカー仲間やライバルたちとのと再会は、コウスケの表情を明るくし、そして、有難いことに彼の闘争心とモチベーションを目覚めさせてくれたようだ。


私も会場で所属チームの違ういろいろな育成者の方々と会った。
先ず「コウスケのケガの具合はどうですか？」と尋ねてくださる。
「思ったより回復が早そうだね。」とか「今、頭を鍛える絶好のチャンスですね。」とか「グレードアップして帰ってきそうですね。」とか「コウスケの仲間を鼓舞する姿が、山口県のチームには絶対必要ですよ。やっぱり、コウスケがいないとチームの感じが違います。」とか「アシスタントコーチみたいですね。」とか「さっき声をかけたら、”今から復活します”って言ってくれましたよ。」などなど・・・・・。いろいろな方が、いろいろな言葉でコウスケと私を励まして下さった。


トレセンが終わり家に帰ると、コウスケは私を表に引っ張り出し、サッカーの練習を始めた。インサイドパス。トラップ。トス。ジャンピングヘッド。3カ月以上のブランクはあるものの、彼のテクニックは衰えていないように思えた。次にコーンを取り出して、アジリティの練習を始めた。前へ、後ろへ、右へ、左へ、斜めへ。もちろんそんなに激しくはないが、確実に動けている。少しずつ距離が延び、動きが早く、そして力強くなっていくことを願おう。そして、今日のサッカー仲間たちと同じピッチで躍動できるよう、少しずつ進化しよう。そのための努力を続けよう。

復帰を目指す彼にとって7月1日は良いきっかけになった。