9月1日。
山口県チャンピオンズリーグ。2部B後期最終戦。
僅かながら1部昇格への望みをつないだ闘いになった。
相手チームは、徹底的に個人技に拘るクラブチームとの対戦となった。
そのチームには、昨年まで県トレセンで一緒に活動した4名の選手が所属していた。
試合はある程度の白熱はしていたものの、決定的な緊張感は感じられず、チャンスを決めきれない我がチームと、チャンスを逃してまでも個人技に拘る相手チームとの微妙な闘いとなった。
コウスケはそんなゲームのラインズマンをしていた。
タッチラインを走りながら、いろんなことを感じていたようだ。
そんな彼の心のつぶやきは、大きな独り言となって、表面化していた。
彼は心の中で”地団太ふみながら”懸命にラインズマンの枠割をこなしていた。
こうして、躍動を許されない夏が終わっていく。
夏休み最後の試合で夏雲は彼をゆっくり見守った。
空には綺麗な夏雲が悠然と立ちすくんでいた。
次の夏は夏雲の下、躍動をしているコウスケに会えるだろう。