1990年代中盤、パソコンメーカー各社が 「高性能・高機能」 化に走った理由
それはWindows95ブームに乗って多くのパソコン専門誌が発売され
そこでコメントされるヘビーユーザー / パワーユーザー、
いわゆる 「パソコンおたく」 のコメントによるところもあったと思う。
B5ファイルサイズのノートパソコンは 「携帯型サブノート」 とカテゴライズされ
同時期に発売された似たような機種と細かく比較され優劣を付けられ
小売店などの販売側は、とにかく 「高性能・高機能」 を求めてきた時代
営業サイドは、シェア獲得のためのモノづくりしか求めなかった時代
そんな1990年代中盤に 「VAIO PCG-505」 (以下VAIO505) のコンセプトを採用したSONY。

CPUやメモリー容量、HDD容量、表示解像度、バッテリー駆動時間・・・
FDDもCD-ROMドライブ(別売)も外付け。
それよりも、MDプレーヤーやハンディカムといった当時の人気製品を接続し
映像や音楽を自由に編集できるという提案を発信。
それが 「性能は並かそれ以下」 のスペックで爆発的ヒット商品になった。
SONYは1万台/月生産と言われていたが、それでも生産が間に合わず増産。
「1機種でシェア5%取れば大ヒット」 と言われていた業界でそれを軽く超えた。
ただ、良い話ばかりでもなかった。
オープン価格だったが、実売は25万円程度。それだけ見れば手ごろ。
しかし、オプションがアレコレ必要となる。
専用CD-ROMドライブは3万5千円
プリントアウトするためにポートリプリケーターが必要で1万2千円
HDDは1GBしかなく、当時の一般的なスペックよりも少ない。
映像や音楽を編集しようとすると少な過ぎるので、拡張HDDを購入し数万円・・・
などユーザーからは後から出てくる出費に不満を漏らす人も多かった。
自分は 「物足りなさを感じさせるのもSONYの戦略でしょ」 といった笑い話にしたが
すべてを網羅しようとすれば、コンセプトがぼやけるのは当然。
見た目、薄さ、軽さ、特化した使い勝手を提案するカタチとしては正しいと思う。
VAIO505以降、他のメーカーも銀色化が進んでいく。
1997年はノート型パソコンにとって、また新しい幕開けの年となった。