goo blog サービス終了のお知らせ 

タイチのブログ♪

ミュージックビデオとひとりごと

SONY VAIO PCG-505 (その3)

2015年09月04日 | SONY VAIO PCG-505

1990年代中盤、パソコンメーカー各社が 「高性能・高機能」 化に走った理由

それはWindows95ブームに乗って多くのパソコン専門誌が発売され

そこでコメントされるヘビーユーザー / パワーユーザー、

いわゆる 「パソコンおたく」 のコメントによるところもあったと思う。

B5ファイルサイズのノートパソコンは 「携帯型サブノート」 とカテゴライズされ

同時期に発売された似たような機種と細かく比較され優劣を付けられ

小売店などの販売側は、とにかく 「高性能・高機能」 を求めてきた時代

営業サイドは、シェア獲得のためのモノづくりしか求めなかった時代

そんな1990年代中盤に 「VAIO PCG-505」 (以下VAIO505) のコンセプトを採用したSONY。



CPUやメモリー容量、HDD容量、表示解像度、バッテリー駆動時間・・・

FDDもCD-ROMドライブ(別売)も外付け。

それよりも、MDプレーヤーやハンディカムといった当時の人気製品を接続し

映像や音楽を自由に編集できるという提案を発信。

それが 「性能は並かそれ以下」 のスペックで爆発的ヒット商品になった。

SONYは1万台/月生産と言われていたが、それでも生産が間に合わず増産。

「1機種でシェア5%取れば大ヒット」 と言われていた業界でそれを軽く超えた。


ただ、良い話ばかりでもなかった。

オープン価格だったが、実売は25万円程度。それだけ見れば手ごろ。

しかし、オプションがアレコレ必要となる。

専用CD-ROMドライブは3万5千円

プリントアウトするためにポートリプリケーターが必要で1万2千円

HDDは1GBしかなく、当時の一般的なスペックよりも少ない。

映像や音楽を編集しようとすると少な過ぎるので、拡張HDDを購入し数万円・・・

などユーザーからは後から出てくる出費に不満を漏らす人も多かった。

自分は 「物足りなさを感じさせるのもSONYの戦略でしょ」 といった笑い話にしたが

すべてを網羅しようとすれば、コンセプトがぼやけるのは当然。

見た目、薄さ、軽さ、特化した使い勝手を提案するカタチとしては正しいと思う。



VAIO505以降、他のメーカーも銀色化が進んでいく。

1997年はノート型パソコンにとって、また新しい幕開けの年となった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SONY VAIO PCG-505 (その2)

2015年09月03日 | SONY VAIO PCG-505

「VAIO PCG-505」 (以下VAIO505) が発売された1997年のパソコン市場は

販売が失速している危機的状況だった。


「Windows95」のブームが去ると、その後はメーカー各社

性能・機能の追求へ付加価値の方向性を探るカタチになっていったが

そのほとんどがデバイスメーカーの転売で同じような製品が出来上がるという状況。

パソコンメーカーが苦戦すれば、その影響はデバイスメーカーにも波及

「販売数が減ればイニシャル(初期投資)が回収できない」

という会社存続に関わる問題のため、デバイスメーカーの拡販活動は顕著だった。

LCD、HDD、バッテリー、CD-ROMドライブ、サウンドシステム・・・

これらのキーデバイスを寄せ集めた「キットマシン」化が進むと

「どれも似たり寄ったり」という製品が並ぶのは当然。

ましてや 「高性能・高機能」 をうたうと、当然のように価格が上昇する。

使わないことの多い性能・機能に高額を払うことにユーザーは疑問を持ち始めた。

そんな空気を読んで 「そこそこの性能」 の 「VAIO505」 を製品化するあたりはさすが。



既成ノートパソコンとの差別化をよく検討したなという点もあった。

使用していて気づくのは、ポインティングデバイスのタッチパッド。

当時の流行は 「静電容量感知式」 だったが、VAIOは 「感圧式」 を搭載。

「静電容量感知式」 は、いわゆるカーソル飛びがあり使いづらい。

そこで登場した 「感圧式」 を採用しているが、当時はロジテックと富士通の2社のみ。

SONYはロジテックを採用していたが、当時の記録では自分も富士通より良いとしていた。

その感圧式タッチパッドは付属のペンでも操作できるが、

LCD左側のデッドスペースに収納できるようになっている点は細かい気遣い。

意外とこうしたちょっとしたことが当時のユーザーから 「嬉しい」 とよく聞かれた。

一方でアプリとして 「ペン用メモソフト」 がプリインストールされていたが

こちらは 「使えない」 という声が多かったので、ペン入力ではなく

あくまでもポインティングデバイスとしての評価といったところ。


つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SONY VAIO PCG-505 (その1)

2015年09月02日 | SONY VAIO PCG-505

これまで、1980年代後半のノート型パソコンの創世記から

1992年頃から始まったカラーディスプレイ時代について掲載してきた。

個性的な機種もあったが、デザイン性、特にアピール度の高い製品は

正直出てきたことはなかった。

それは、乱立するパソコンメーカーの中では、販売台数やシェア獲得のため

確実に販売が見込めるビジネスユース的なマーケットにどうしても目が向く。

本当の意味での個人使用を考慮したデザインを製品化できない環境があった。


そんな中で1社だけ、挑戦を始めたメーカーがあった。


1997年、ソニーが「VAIO PCG-505」(以下VAIO505)を発売。



マグネシウム合金に紫色がかった銀色の塗装は

それまでの「ねずみ色ボディ」のパソコンを見慣れたユーザーをひきつける

強烈なアプローチだった。

そして埋め込まれた 「SONY」 のロゴよりも目立つ大きく印刷された 「VAIO」 のロゴ。

そういえば、静岡の某工場の責任者の方がこんなことを言っていた。

「SONYのデザイナーはMgダイカストで凹文字はムリだってわかってもらえないんですよ」

デザイナーさんはどうしても 「VAIO」 のロゴを凹ませたかったようです。

ただ、当時の技術では部品の修正・歩留まりを考えると難しいというのは

設計者なら誰でもわかってること。

それでもロゴを凹ませることにこだわっていたデザイナーさんは

平面に凹文字に見える?印刷という手法で製品化。

経緯を知っていたので、完成品を見たときは吹き出してしまったが

何も知らない一般ユーザーは、それでもインパクトがあったと思う。


つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする