SONYがVAIO505を発売するより数ヶ月前
パソコン業界が驚愕するノートパソコンが登場した。
三菱電機の 「Pedion」

幅297mm、奥行き218mmのA4サイズ
なのに厚さはたったの18mm(公称)。
この薄さに
LCDは12.1インチSVGA対応TFTモジュール
HDDは1GB、バッテリーはリチウムポリマーを採用し
質量が1.45kg
スペックだけ見れば、究極のモバイルPC

ただし、VAIOに比べ知名度が低いこのパソコンの最大の問題点は価格。
標準価格は578,000円~728,000円
CD-ROM、FDD、各種インターフェイスなどを搭載した「拡張ユニット」の標準価格は70,000円。
(実際に購入した人はまわりにいなかったので実売価格は不明)
その多くがブランニューのデバイスのため購入費は高額。
そしてPedionの筺体もVAIO505と同様、マグネシウム合金を採用しているが製法が違う。
VAIO505はダイカストだが、Pedionはチクソモールディングという手法。
これも価格が上がる要因になっていた。

使い勝手も良いとは言えない。
PCMCIAのType2ポートは2つあるけど、USBポートは1つ。
高額機種ゆえにビジネスユースに特化したとはいえ
当時は拡張ユニットが無ければ、何もできないというのが正直なところだった。
また、最も批判が多かったのは19mmピッチながら
ゴムクッションとストロークの短さに違和感があるキーボードだった。
そんなスペックに賛否両論のPedionだったが、やはりカタチにした功績は大きい。
VAIO505を発売直後、SONYの担当者と話をしたことがあったが
藤沢のスタッフも、品川のスタッフも、口を揃えたように
「Pedionにはやられた。アレで『世界一薄い』が言えなくなった」 と言っていた。
(VAIO505の厚さは公称23.9mm)
それでも Pedion 初代モデルが個性的な機種だったためか、その後は三菱電機も苦戦し
のちに、後継機の開発の相談を受けたが、やはりコンセプトが強烈だったこともあって
Pedionからの発展は困難な状況であった。
そして、三菱電機はOEMで数機種つないだ後、パソコン事業から撤退していった。